なぜ全国に「●●銀座」存在するのか？ 高級繁華街「銀座」に関係する？ 銅座・金座もあるのか

全国各地には「●●銀座」という場所が存在していますが、最も有名なのは「東京都中央区銀座」です。一方で全国にある銀座はどのような由来で誕生したのでしょうか。

■全国にある「●●銀座」、その発祥は？

　東京都中央区の銀座は、日本で最も土地の価格が高い場所として知られています。
　
　その一方で、日本全国には「●●銀座」という名所が存在しますが、東京の銀座とはどのような関係があるのでしょうか。

　国税庁が2022年に発表した「路線価」では、銀座にある文房具店「鳩居堂」の前の土地が1平方メートルあたり4224万円と全国トップに輝いています。

　1603年の江戸幕府樹立以前は入り江となっていた銀座は、その名の由来となる銀貨の鋳造所のある街として発展していきました。

　その後、銀座が現在のような高級商業地として成長していくきっかけとなったのは、1872年に起こった「銀座大火」でした。

　4874戸もの家屋が消失したというこの大火ののち、当時の東京府知事であった由利公正は、防火防災を目的としたレンガ造りの建造物を中心とした都市計画を立案し、実行に移します。

　西欧風の美しい街並みを手に入れた銀座には、実用品を販売する小売店が多く集まりました。

　その顧客の多くは、都心部に住む上流階級もしくは、明治維新後に登場した中流階級の人々だったと言われています。

　その後、関東大震災や第二次世界大戦などの影響を受けたものの、現在にいたるまで高級繁華街としての地位はゆるがず、海外から訪れる観光客にも人気の高いスポットのひとつとなっています。

日本有数の高級繁華街として知られる「東京都中央区銀座」

　日本有数の「ブランド地名」である銀座にあやかり、日本各地には「●●銀座」と名乗る場所が多く存在しています。

「●●銀座」は特に商店街に名付けられることが多く、東京都北区の「十条銀座商店街」や静岡県熱海市の「熱海銀座商店街」などをはじめ、300を越える「●●銀座商店街」があると言われています。

　そのほとんどは、本家の銀座のイメージを持たせるために名付けられたと考えられますが、「●●銀座」の元祖とされる東京都品川区の「戸越銀座商店街」には、しっかりとした由来があるようです。

■ 東京都品川区の「戸越銀座商店街」は本家の銀座と特別な縁がある？

　全長1.3kmにおよぶ戸越銀座商店街には約400もの店舗が軒を連ね、地元の人々はもちろん、遠方からも訪れる多くの観光客による賑わいを見せています。

「江戸を越える場所」がその名の由来と言われる戸越の商店街に「銀座」の名がつけられるようになった背景には、1923年の関東大震災が関係しています。

　関東大震災によって大きな打撃を受けた銀座は、復旧するにあたって、レンガによって舗装されていた道路をアスファルト化することになりました。

　一方、低地であったことから慢性的な冠水に悩んでいた戸越では、銀座で使用されていたレンガをもらい受けて道路舗装に利用したことで、排水性を高めることができました。

　これにより、ほかの地域に先がけて関東大震災からの復旧を果たした戸越では、銀座に対する感謝の念を込めて、商店街に「戸越銀座」の名を与えたとされています。

　戸越銀座商店街の東側にある「戸越銀座銀六商店街」は、当時レンガをもらいに訪れた場所が銀座6丁目であったことに由来しているようです。

　現在の戸越銀座商店街は、日本有数の商店街へと成長していますが、その背景には、本家の銀座との深い縁があったようです。

東京都品川区の「戸越銀座商店街」は本家の銀座と特別な縁がある

※ ※ ※

　日本各地には、銀座と似た地名も存在しています。

　長崎県長崎市の歓楽街である「銅座」は、かつて銅貨の鋳造所があったことに由来しているとされています。

長崎県長崎市の歓楽街にある銅座橋

　一方、広島県広島市にあった銅貨の鋳造所の跡地には、1929年に広島市内初の百貨店が開業した際に、東京の銀座を越える街にしたいという思いから、あえて「金座街」と名付けたようです。

　金貨を鋳造する場所としての「金座」は、江戸時代には全国4か所に設置されていたものの、正式な地名として残っているのは静岡県静岡市葵区金座町のみとなっています。

　ちなみに、現在では日本銀行静岡支店がその場所に存在しており、当時の名残を残しています。