夏の車内は危険? 暑い日&長距離移動では高齢者や肥満、妊婦は要注意! 「エコノミークラス症候群」の対策方法とは
くるまのニュース / 2023年7月16日 9時10分
暑い日が続く中でクルマでの長距離移動時には「エコノミークラス症候群」に注意が必要です。ではどのような部分に気をつければいいのでしょうか。
■夏の車内では脱水症状から「夏血栓」を引き起こすことも
夏の運転では熱中症に注意が必要ですが、他にも気をつけなければならないことがあります。
とくに猛暑日には車内でも脱水症状が起こりやすく、身体にとってもさまざまな影響を及ぼします。
2023年の夏はエルニーニョ現象の発生が高く、平年と比べても暑くなることが予想されています。
猛暑の車内は屋外よりも高温になる可能性もあるため、いつも以上に体調管理が欠かせません。
とくに注意しなければならないのは、大量の発汗から引き起こされる夏血栓です。
夏血栓とは夏に起こる血栓症の一種で、大量の発汗で血液濃度が高くなることで血栓ができやすくなる症状を指します。
軽い症状であれば、めまいや倦怠感などの熱中症に似た症状になりますが、重い症状になると胸の痛みや手足のしびれなど、ときには命に係わる事態にまで発展するようです。
さらに油断できないのは、静脈にできた血栓が引き起こす「エコノミークラス症候群」です。
厚生労働省はエコノミークラス症候群について「食事や水分を十分に取らない状態で、車などの狭い座席に長時間座っていて足を動かさないと、血行不良が起こり血液が固まりやすくなります。その結果、血の固まり(血栓)が血管の中を流れ、肺に詰まって肺塞栓などを誘発する恐れがあります」と説明しています。
具体的には、長時間にわたり同じ姿勢で座っていると、とくに脚の部分の静脈に血行不良が生じて血栓ができやすくなります。
症状は片方の膝から下の脚に、発赤、腫脹、痛み等の症状が出現。このような症状が発生したら急いで医療機関を受診する必要があります。
なお足にできた血栓が肺に詰まると、胸痛、呼吸困難、失神等の症状が出現し、危険な状態
になるようです。
さらに厚生労働省によれば、エコノミークラス症候群になりやすい人は主に高齢者、肥満体型の人、妊婦などが挙げられとくに高齢者は注意が必要です。
夏の車内は70度近くに達することも… 様々なクルマのトラブルや体調不良には気をつけて!
※ ※ ※
もともとエコノミークラス症候群は名前の通り、旅客機のエコノミークラスのような狭い空間で長時間同じ姿勢を維持すると発生しやすくなることからその名が付きました。
しかし近年ではエコノミークラスに限らず、ビジネスクラスやファーストクラスはもちろん、クルマの運転中でも起きる症状として注意喚起されています。
長距離の移動では、渋滞に巻き込まれるケースもあるため、車内で座ったままの状態になり血流が悪くなります。
また身体を動かさないことにより水分補給がおろそかになりがちです。
これからまだ暑い時期が続きますが、クルマの運転中にエコノミークラス症候群を予防するにはどうすればいいのでしょうか。
■予防方法で重要なコトとは? 車中泊時に気をつけるコトは?
重篤化すると生命の危険すらあるエコノミークラス症候群ですが、対策をしっかり行えば予防することは十分可能です。
まず予防するのに大事なことは血流の流れを良くすることです。
クルマで移動の際には、必ず水分を携行して1時間当たり100ml程度を補給するようにしましょう。
発汗がみられなくても、夏場のクルマの移動は意外と汗をかいているものです。
定期的に水分を補給することで、血液がドロドロになりにくく血栓を防ぐために効果的です。
水分補給の際にも、コーヒーなどの利尿作用が強い飲料には注意が必要です。
脱水症状を引き起こすリスクが高まるため、クルマでの長距離移動の際は利尿作用の強い飲料は控えるようにしましょう。
もちろん、水分補給だけでは血流が悪くなるのを防げないため、運動によってさらに予防に努めることも重要です。
運動といっても血行が良くなる程度で十分なので、休憩を設けクルマから降りて、かかとの上げ下げやつま先を引き上げるだけでも効果があります。
また、ふくらはぎを手で揉んだり、足首を回したりすることでも予防につながるでしょう。
ほかにも、身体を締め付けるような服装は控えて、ベルトを緩めるなどリラックスできる環境もひとつの策です。
エコノミークラス症候群の予防法(画像:厚生労働省)
また、車中泊もクルマによっては無理な体制で就寝することもあるため、エコノミークラス症候群の原因になります。
車中泊は、狭い車内の場合は姿勢を変えることが困難になるため、とくに注意が必要です。
車中泊をする際は、できるだけ脚を上げて心臓に近い高さに持ってくることで、血流が改善されてエコノミークラス症候群の予防になります。
脚を上げて寝るためにはシートの下に衣類やクッションを詰めて、高さを調整すれば適正なポジションがとりやすいです。
また、ふくらはぎの動きをサポートする「着圧ソックス」を利用すると安心感も高まるので利用するのもいいかもしれません。
車中泊での注意ポイントは?(画像:トヨタ)
※ ※ ※
ちょっとした油断から引き起こされる夏血栓やエコノミークラス症候群ですが、未然に対策しておくことが重要です。
長時間クルマで移動するときは休憩を設け、クルマから降りて心身をリフレッシュするようにしましょう。
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