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ホンダ新型「アコード」発売! 専用の“新ハイブリッド”は「スポーツエンジン」並!? 見た目ではわからない“スゴさ”とは

くるまのニュース / 2024年3月7日 11時50分

2023年3月7日、ホンダは新型「アコード」を翌8日に発売すると発表しました。同車に搭載されているのは「シビック」や「ZR-V」に搭載されるスポーツe:HEVですが、高出力化などが行われた“アコード専用”となっています。その実力はどのようなものなのでしょうか。

■ホンダ新型「アコード」発売! 搭載される“e:HEV”の実力は?

 2021年4月23日のホンダ・三部敏弘宏社長が、ホンダの目指す姿と取り組みの方向性について説明しました。
 
 注目は4輪の電動化戦略についてで、「EV/FCVの販売比率を2040年にグローバルで100%」を目指すという発表です。

 現在このキーワードだけが1人歩きしていますが、その後の質疑応答で「特定技術(=電動化)に対して決め打ちでシナリオを描かない」、「色々な技術に対して可能性を残しておくべきだと思う」と語っています。

筆者(山本シンヤ)は、プレゼンと質疑応答の矛盾は気になるものの、ホンダの本音は後者にあると思っています。

 と言っても、現時点では技術的な課題もまだまだ多く、ここ10年近くはハイブリッドが主流になる事は明らかでしょう。

 そんなホンダは1999年に登場した初代インサイトに採用されたIMA以降、様々なシステムの研究・開発を進めてきましたが、現時点での最適解となるのが「e:HEV」になります。

 システムとしては2012年に発表されたスポーツハイブリッドシリーズの中の次男坊である「i-MMD」の発展形で、よりコンパクト、より高効率、そしてよりドライビングファンを目指して進化が行なわれています。

 そのシステムのおさらいをすると、ハイブリッド専用エンジンと駆動用・発電用モーター、パワーコントロールユニット、そしてリチウムイオンバッテリーで構成されています。

 バッテリー残量がある時はモーターならではのスムーズかつレスポンスに優れた「EVドライブモード」、強い加速が必要な場合はエンジンを始動して発電用モーターを駆動、その電力を走行用モーターに供給して駆動を行なう「ハイブリッドドライブモード」に自動的に切り替わります。

 これだけなら、日産のe-POWERなどと同じシリーズハイブリッドですが、e:HEVそれに加えてホンダ独自のプラスαが備えられています。

 そのプラスαとは、「エンジンの軸と車軸を直結するためのクラッチ」です。これにより高速道路での走行などでモーターの効率よりもエンジンの効率が良いと判断した際には、エンジンの駆動を直接タイヤに伝える「エンジンドライブモード」に切り替わります。

 と言っても、単なるエンジン駆動ではなく、エンジンの駆動力が余剰だと判断した場合には発電してバッテリーに電力を貯める、逆にエンジンだけでは駆動力が足りない場合はモーターがそっとアシストを行なうなど、細かな制御を行なっています。

 その理由は単純明快で「エンジンを一番効率のいい状態で回すため」です。しかし、効率のいい所だけでエンジンを作動させると、回転と加速感にズレが生じてドライバビリティは悪くなってしまうので、効率とリニアなフィールを両立させるような制御の作り込みも、e:HEVの大事な要素の一つとなっています。

 エンジンドライブ時の制御切り替えはショックも音の変化もない(厳密に言うと僅かに変化しますが誤差範囲のレベル)ので、ほとんどの人が気づかないでしょう。

 ちなみにメーター表示をパワーフローに設定し、中央に小さな“ギア”のマークが表れた時がエンジンドライブモードになります。

 技術は人に気づかれることなく行なうのがシステムとして優秀ですが、個人的にはもう少しアピールしてもいいかなと思う部分も。つまり、それくらい様々な制御がリアルタイムかつシームレスなのです。

 そんな事から、e:HEVを一言で説明するのは非常に難しいのですが、強いて言えば「モーターとエンジンの美味しい所をリアルタイムで最適に制御して使うシステム」です。

 更に11代目「シビック」と「ZR-V」に搭載される「スポーツe:HEV」は、システムの基本的な考え方は同じですが、構成ユニットや制御を一新。

 エンジンは新開発となる2リッター直噴アトキンソンサイクルで、高燃圧DI+多段噴射、高圧縮比(13.9)、高流動インマニポート+タンブル保持ピストンの採用などによる燃焼技術の進化などにより、出力/燃費/エミッションを総合的にレベルアップ。

 電動パワートレインもモーターの高出力化(先代アコード用を水平展開)やPCUの高出力化&軽量化、そしてバッテリーの使用容量拡大&小型化など、全面的に見直しが行なわれています。

 そして、今回紹介する11代目に進化した新型「アコード」には更なる進化バージョンが搭載されています。

 正式発売に先駆け、伊豆サイクルスポーツセンター内の起伏に富んだ5kmコースで試乗を行なってきました。

■さらなる進化を遂げたハイブリッド…新型「アコード」の実力は?

 まずはアコードの歴史を少々。1976年にシビックの兄貴分として登場。初代から世界戦略車としての役目を担い、2代目は日本車で初めてアメリカで現地生産を行なったモデルとなります。

 これまで120を超える国と地域で発売、累計販売台数は2000万台を超え、グローバルでは「フィット(一部地域名:JAZZ)」やシビックと並ぶ「ホンダの大黒柱」の1台である事は間違いないでしょう。

 しかし、日本市場ではクルマとしての実力は高いレベルにあるものの、グローバルモデルであるが故に、常に“日本に最適”なクルマづくりができたかと言われると疑問符が付きます。。

特に直近の10年は影の薄さは販売台数にも表れていたのも事実でしょう。

 そんな中で登場した11代目ですが、あのクラウンでさえ変革を余儀なくされている状況ですが、先代に引き続き「セダン1本勝負」となります。

プレステージ性がました新型「アコード」プレステージ性がました新型「アコード」

 エクステリアは先代に対して、より力強くシャープな印象のフロントマスク、低く長いノーズ、より伸びやかなファストバックシルエット、横一文字のリアコンビランプなどによりプレステージ性は増しましたが、若返りができたかと言うと難しいかもしれません。

 筆者としてはホンダ純正アクセサリーで用意されているエアロパーツはマストで装着したいとことです。

 インテリアは、最新ホンダ車共通の水平基調インパネデザインの進化版です。ソフトマテリアル、こだわりの縫製仕上げ、ピアノブラック&微細立体柄金属調の加飾、細部まで抜かりない仕上げなども相まって、ノイズレス&クリーンだけど質の高い空間に仕上がっています。

 ただ、フル液晶式になり機能性はアップされたものの、事務的でセンスのかけらもないメーターデザインはガッカリ。

 センターモニターは先代と同じ位置ながらも画面サイズを拡大。ここはナビゲーションやオーディオ操作、空調関係などが集約され、物理的なスイッチは必要最小限。

 ナビはホンダ伝統のインターナビではなくGoogleをビルトイン。「OK Google」でナビやオーディオはもちろん、車両側の様々な機能(エアコンなど)もコントロール可能となっています。

 インパネセンターは、時計に加えて複数の機能を持つ「エクスペリエンスセレクションダイヤル」を採用。

 これはダイヤル/プッシュの簡単操作でエアコンモードとパーソナルモード(エアコン/オーディオ/照明)のコントロールが可能で、先進性と利便性を両立させる新たな操作系の提案です。

 ちなみに室内のアンビエントライトは単なる装飾ではなく、各種操作のフィードバックを行なう機能部品としての役割も担っています。

 居住性は前後席共に先代から大きな差はありませんが、ノイズレスなインパネ周りや視界の良さなどから、“広さ感”は増しています。

 パワートレインは、シビックやZR-Vと基本的には同じ構成のスポーツe:HEVですが、2モーター内蔵の電気式CVTは並行軸モーター(ギア比の自由度が高い)&高出力化されたアコード専用品が搭載されています。

■走るとわかるアコードのスポーツe:HEVとは

 まずはドライブモード・ノーマルで走行します。シビックやZR-Vと同じく“電動車感”は強めで、アクセルをかなり踏み込んでもエンジンはなかなか始動しません。

 この辺りは高出力モーターの余裕とバッテリー制御の進化が効いているのでしょう。

 バッテリーが減るとエンジンは始動しますが、遠くで囁いているくらいのイメージで存在感は少なめです。

 これは遮音性の高さはもちろんですが、濁音が少なめのエンジンサウンドなども効いているような気がしました。

スポーツエンジン並の走りが楽しめる? ホンダ「アコード」スポーツエンジン並の走りが楽しめる? ホンダ「アコード」

 ここまでは“想定内”ですが、このユニットの旨味はドライブモード・スポーツです。

 語弊を恐れずに言うと、まるで「スポーツエンジン」に近いフィーリング。もう少し具体的に言うと、繋がっていないはずのエンジンと駆動系がまるで繋がっているかのような直結感と、回すほど力が湧き出るようなエンジンの伸び感と心地よく澄んだサウンドです。

 この辺りはダイレクトアクセルとリニアシフトコントロールと言った制御技術の進化やASC(アクティブ・サウンド・コントロール)などが活きているのでしょう。

 個人的にはアコード・ユーロR(CL7)に搭載されていたバランサーシャフト付のK20Aを思い出したくらいで、「スムーズ&滑らか」と「官能的」が共存しています。

 パドル(回生の効きを調整可能)を活用すればスポーツドライビングも可能。ある意味、ハイブリッド嫌いでも納得のハイブリッドと言えるかもしれません。

 今回はパワートレイン体感が主ですが、フットワーク系についても少しだけ触れておきます。

 プラットフォームは先代のアップデート版です。具体的な変更箇所は公表されていませんが、フィットやシビックと同じように素性を使い切る最適が行なわれています。

 ちなみにサスペンションにはアダプティブダンパー、タイヤはミシュランの電動化時代の最新プレミアムタイヤ「eプライマシー」が奢られます。

 まずはゆっくりと走ります。走り出した瞬間から剛性の高さを感じるボディ、滑らかで芯のあるステアリングなどは、「プレミアムセダン」の領域に入っています。

 快適性はホンダ最良の仕上がりで、入力の伝わり方の少なさ、ギャップ乗り越え時のシットリとした足の動かし方などは、クラウンセダンや欧州プレミアムとガチで比べたくなるレベルです。

 ただ、この辺りは先代からの正常進化と言う意味では想定内です。新型アコードとしての驚きは、速度を上げて走行した時にありました。

 それはFF横置きレイアウトとは思えない前後バランスの良さ、無駄な動きを抑えたボディコントロール、4輪の接地性の高さなどが相まって、まるでボディサイズや車両重量が一回り、いや二回り小さくなったかのような軽快感と一体感を備えていた事です。

 具体的には、フロントは回答性の高さは舵を入れるとアンダー知らずでグイグイとノーズが入るフロントと四駆のような鉄壁の安定感のリアとのバランスによって、路面を選ぶことなく「意のまま」と「安心感」が高度にバランスされています。

 ドライブモード「ノーマル」でもSi/SiR/ユーロR/タイプSと言ったこだわりのあるスポーツ系モデルを遥かに超えるハンドリングを備えていますが、「スポーツ」を選ぶと、よりダイレクト/よい俊敏/よりレスポンシブルな特性となり、ズバリ「快適性を一切損なわない本格スポーツセダン」の走りです。

 更にブレーキも回生協調ブレーキながら、タッチ/コントロール性共にメカニカルブレーキと錯覚してしまうくらい自然なフィーリングにビックリです。

 そろそろ結論に行きましょう。走る/曲がる/止まるに関しては、「スポーツハイブリッド」の名に恥じない仕上がりです。

 個人的にはシーンに応じて「プレミアム」と「スポーツ」、どちらにもなれる二面性こそが、新型アコードの「個性」だと思いました。

 ただ、最大の難点は、見た目からこのクルマの凄さがまったく感じられない事です。筆者も乗る前は「主力マーケットを考えると、よく言えば大らか、悪く言えば大味な乗り味だろうな」と思ったくらいですから。

 新型アコードは若い世代やセダン離れしてしまったユーザーに振り向いてもらうべく開発されたと言います。

 筆者はアコードの若返りとは「おじさんが無理に若作りする事」ではなく、「若い人が見て『おじさんカッコいいよね!!』と言ったような憧れの存在になる事」だと考えています。

 確かに走りやメカニズムにはその片鱗は感じられましたが、ユーザーはメカニズムを買うのではなく、クルマを買うわけなので。

 新型アコードは間違いなく「いいクルマ」ですが、若返りを解りやすく正確に伝えるためには「もう一味が欲しい」。それが筆者の強い想いです。

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