まるでスポーツクーペなトヨタ「プリウス」どんな人に“刺さる”? 顧客層に変化アリ? 営業マンが感じるジレンマとは
くるまのニュース / 2024年3月27日 17時40分
発売から1年が経過したトヨタ「プリウス」(5代目)は、スポーティなスタイリングや走行性能を有するモデルへとシフトしました。大刷新したプリウスの顧客層はこれまでと異なるのでしょうか。
■見た目も走りもスポーティな現行「プリウス」
「エモーショナルなクルマ」を目指してトヨタが開発した現行「プリウス」(5代目)は2023年1月に登場。
これまでの保守的なイメージからコンセプトを大幅に変更し、低重心かつスタイリッシュなプロポーションに生まれ変わっています。
プリウスはハイブリッド専用車種として販売され続けており、その使命は「ハイブリッドを普及させること」でした。そのため、従来モデルは多くの人に愛用されるような利便性や日常性をある程度意識した造りやコンセプトとなっていたのです。
しかし、現在のトヨタ車では、コンパクトカーからSUV、ミニバンまでハイブリッドを採用したモデルが多くラインナップされるようになりました。
そこで今一度「プリウスの存在意義とは?」を考え直した結果、現行モデルでは「一目惚れするデザイン」と「虜にさせる走り」を兼ね備えたエモーショナルなクルマを目指したといいます。
つまり、利便性や運転のしやすさといった万人に受ける要素を持つクルマから、「ほかとは違うプリウスだから選びたい」とされるような、少し尖ったクルマへとなったワケです。
こうして登場した現行プリウスは、大きく傾斜したAピラーや低いボンネットなどが話題となり、デザインに関して「カッコいい!」といったポジティブな意見が多く見られました。
また走りの良さも意識した開発となっていて、レスポンスの鋭さを感じられるスポーティな雰囲気のハンドリングも魅力です。
ただ、先代モデルに比べたら低くて乗り降りがしづらくなり、視界もあまり良くないということは否定できず、また乗り心地も若干ハードな印象を受けます。
このように生まれ変わったプリウスに対して、購入ユーザーの変化などはあったのでしょうか。
トヨタのディーラーに聞いてみたところ、購入するユーザーが変化した印象はあまりないとのことですが、ただし店頭でのリアクションは先代とは異なっているそうです。
「先代モデルよりも現行モデルのほうがお客さまの“食いつき”が良いようです。
『カッコイイ!』とか『ホイールが大きくてスタイリッシュですね!』といったようなデザインに対して好意的な声を多く受けます。
また、『これは何てクルマ?』と聞くお客さまもいて、プリウスだと紹介すると驚かれることもありました」
新たに現行プリウスを購入する人は、大きなクルマからの乗り換える人が多いとのこと。そうしたユーザーは子育てが終わり、ミニバンやSUVから乗り換えるといった背景を持つのだそうです。
考えてみればこの層は若い時にデートカーとしてクーペが流行った世代でもあり、そんな人たちに低くてスタイリッシュなプリウスのデザインは刺さるのでしょう。
ただ、これまでプリウスを所有してこなかった来客者が店頭で展示車を見てプリウスに興味を持っても、なかなか最後の契約までは至らないとディーラーマンは語ります。
「確かにご興味を持って頂けるのですが、納期が長いことを聞いて購入への意欲が落ちてしまう方が多いです。クルマが良いだけに我々としてもジレンマを感じています」(トヨタの販売店スタッフ)
※ ※ ※
エモーショナルなクルマへと生まれ変わったプリウスが、新たなファンを獲得するには、「納期の長期化」という自動車業界全体の課題の解決が急がれるといえるでしょう。
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