国際宇宙ステーションと地上間での秘密鍵共有と高秘匿通信に成功
共同通信PRワイヤー / 2024年4月18日 14時0分
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202404169505-O2-II2O93TJ】
一方、地上での中継が不要な、衛星を用いた量子鍵配送の可能性も模索され、2017年に中国で衛星量子鍵配送の実験が成功しました。これを機に世界各国で衛星量子暗号技術の開発が進められましたが、共有される鍵の量が限られ、また大型の地上局が必要など、その実用には課題が残っていました。
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今回の成果
今回、NICTを始めとした5機関の研究開発チームは、衛星―地上局間の見通し通信路の性質を利用し、より高効率で鍵共有を可能とする物理レイヤ暗号の研究開発を進め、その宇宙実証を行いました。
今回の実験(図1参照)で我々研究開発チームは、低軌道高秘匿光通信装置(SeCRETS(シークレッツ))を開発し、ISSの日本実験棟きぼう船外実験プラットフォームに搭載しました(図2参照)。このSeCRETSから10 GHzクロックで乱数データ(鍵データ)を変調した信号光を地上に向けて発射し、NICT本部(東京都小金井市)に設置した可搬型光地上局の直径35 cm反射型望遠鏡(図3参照)で信号光を受信することができました(なお、可搬型光地上局及びそこから25 m離れた直径1.5 m地上固定局望遠鏡で光信号とビーコン光の光強度を測定し、地上での光ビームの広がり具合を推定しています。)。そして、信号の盗聴者への情報漏えい量を無限小とするため、この受信した乱数データをISSと地上局の間で鍵蒸留処理をすることで、1回の上空通過で100万ビット以上の安全な暗号鍵の生成に成功しました。
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さらに、この蒸留処理した暗号鍵を用いて軌道上にある写真データをワンタイムパッド暗号化してISSからの電波による通信を通じて地上に送信し、復号することでこの写真データを取得することにも成功しました(図4参照)。
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今回開発したSeCRETSは、そのほとんどの部分を民生部品で構成していますが、低軌道衛星を想定した環境での使用を想定した耐真空環境、耐放射線被曝に関する試験を行い、低軌道のような過酷環境下でも問題なく動作することを確認しています。また、光学系望遠鏡をトラックに搭載することで可搬型の光地上局を構成し、かつ、高速変調した信号の受信のための極めて微細な調整が可能な追尾システムを導入しています。
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