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TOPPANデジタルとNICT、自治体向けBPO事業において量子暗号と秘密分散システムの有用性を確認

PR TIMES / 2024年4月4日 13時45分

量子鍵配送装置を活用した、高秘匿情報の送受信により安全・安心な行政DXの実現に貢献

 TOPPANホールディングスのグループ会社であるTOPPANデジタル株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:坂井 和則、以下 TOPPANデジタル)と国立研究開発法人情報通信研究機構(理事長: 徳田 英幸、以下 NICT(エヌアイシーティー))は、TOPPANデジタルの事業所内に量子鍵配送(QKD)装置(※1)を設置し、住民情報(氏名・住所等)を想定した高秘匿情報の送受信・保管に関する実証を行い、量子暗号と秘密分散システムの有用性を確認しました。



 本実証では、NICTが提供する量子暗号ネットワークテストベッドを、TOPPANグループの自治体向けBPO事業のひとつである「給付金申請の受付業務」の作業環境と想定。実業務における量子暗号通信技術や秘密分散技術を活用した、データ送受信やバックアップ保管の有用性を確認する実証を2023年11月から2024年3月に実施しました。
 その結果、自治体向けBPO事業において量子暗号通信や秘密分散システムの有用性が効率性/実用性/満足性の観点から確認できました。TOPPANデジタルとNICTは、本実証を通して得られた知見を基にテストベッドを改良しながら利用拡大、社会実装を推進していくとともに、自治体向けBPO事業への適用を通じ、量子時代においてもセキュリティを保持した安全・安心な行政DXの実現、社会課題解決を目指します。
 なお、本実証の一部は、総務省事業「量子暗号通信ネットワークの社会実装加速のための広域テストベッド整備」の成果を活用しています。

[画像: https://prtimes.jp/i/33034/1381/resize/d33034-1381-012088b937e2f59a51d1-0.png ]

■ 実証実施の背景
 重要情報が超長期にわたり保存される時代となり利便性が増した一方で、現時点では解読できなくても、データを予め盗んでおき、量子コンピュータが普及した際に、解読されてしまうリスクや、大規模災害によるデータ消失などが、遠くない将来に起こる可能性があります。また、技術開発やビジネス創出において複数の組織間でのデータ共有が必要不可欠となる中、データの盗聴やサイバー攻撃などのリスクから保護するための情報理論的安全性(※2)を備えた新しいセキュリティシステムとして、NICTらは企業間量子暗号ネットワークテストベッドを整備し、2023年12月に試験運用を開始しました(※3)。
 他方で、総務省の「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」で「行政手続きのオンライン化」が示され、行政サービスのDXへの注目が高まる一方で、行政手続きの複雑化により自治体の業務が増加していることから、各種業務を外部委託する自治体が増えています。自治体向けBPO事業では、住民の個人情報を取り扱うこともあり、高セキュリティ環境下での管理だけでなく、将来的なリスクへの対応は喫緊の課題になっています。
 このような課題に対し、TOPPANデジタルとNICTは、企業間量子暗号ネットワークテストベッドを活用し、TOPPANデジタル事業所内に設置したQKD装置を用いて、自治体向けBPO事業を想定した実証を実施しました。

■ 実証実験の概要
実施期間:2023年11月~2024年3月
実施場所:TOPPANデジタル事業所(都内某所)、NICT本部(東京都小金井市)
検証内容: QKD装置を介して両者の拠点を接続した量子暗号ネットワークテストベッドを、自治体向けBPO事業の「給付金申請の受付業務」の作業環境と想定。模擬的に当該業務で発生するデータフローを実行することでテストベッドの有用性を検証。具体的には、QKD装置を設置したTOPPANデジタル事業所内に自治体、BPO事務局、コールセンターとみなす作業環境を設置することで、NICT本部を経由した量子暗号通信技術によるデータ送受信や、秘密分散技術によるデータ保管を実際の業務へ適用した際の有効性や効率性、実用性や信用性などを含む満足性の観点から利用時の品質をISO/IEC25010の品質モデルを参照して評価・検証を実施。
検証結果:個人情報を扱う業務において求められるセキュリティを保ったまま、将来に渡る安全性も確保可能なデータ流通/保管/利活用環境であることを確認。また、本テストベッドの利用拡大に向けて、機能的/非機能的観点からの課題を抽出することもできました。

■ 今後の目標
 TOPPANデジタルとNICTは、テストベッドの利用拡大のため、本実証によって得られた結果と知見を基に利便性の向上に向けた改良や、自治体向けBPO事業以外で高秘匿情報(認証要素/行動履歴/バイオデータ等)を扱うユースケースの適用実証を目指すとともに、安全性やユーザビリティ向上のため本人認証やアクセス管理などへの「PQC CARD (R)」(耐量子計算機暗号を実装したICカード)(※4)の適用を検討していきます。さらに、TOPPANグループの自治体向けBPO事業へ適用していくことで量子時代においても安全・安心なデータの送受信や保管を可能とし、行政DXの実現に貢献することを目指します。
 また、本テストベッドには量子インスパイアードコンピュータと呼ばれる、組み合わせ最適化問題を解くことに特化した計算エンジンも組み込まれており、物流や製造分野のDXサービスを始めとした組み合わせ最適化問題の解決によって付加価値向上が見込める、TOPPANグループの事業への適用を想定した実証により、有用性の評価を行い、得られた結果を基にテストベッドのさらなる改良を目指します。

※1 量子鍵配送(QKD:Quantum Key Distribution)装置
 量子鍵配送(QKD)を実現するための装置。QKDは光子を使って暗号鍵を送受信者間で共有する技術で、送信者が光子を変調(情報を付加)して伝送し、受信者は届いた光子一個一個の状態を検出し、「鍵蒸留」と呼ばれる情報処理により、盗聴の可能性のあるビットを排除して、絶対安全な暗号鍵(暗号化のための乱数列)を送受信者間で共有する。変調を施された光子レベルの信号は、測定操作をすると必ずその痕跡が残る(ハイゼンベルクの不確定性原理)ため、この原理を利用して盗聴を見破る。

※2 情報理論的安全性
 一般的な暗号技術に用いられる、「特定の数学的な問題を解くことが難しい」という仮定に依存した安全性(計算量的安全性)とは異なり、攻撃者・盗聴者が得られる情報と、秘密情報との確率論的な独立性をもって安全性が保証される性質。理論上、いかなる盗聴攻撃によっても、情報が漏えいすることはない。

※3 「複数の企業間を結ぶ量子暗号ネットワークテストベッドの運用試験を開始」
https://www.holdings.toppan.com/ja/news/2023/12/newsrelease231218_1.html

※4 PQC CARD (R)(耐量子計算機暗号を実装したICカード)
https://www.holdings.toppan.com/ja/news/2022/10/newsrelease221024_1.html

* 「PQC CARD」はTOPPANホールディングスの登録商標です。
* 本ニュースリリースに記載された商品・サービス名は各社の商標または登録商標です。
* 本ニュースリリースに記載された内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。

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