新しい公式で描く正しい自由エネルギー地形
共同通信PRワイヤー / 2024年5月7日 14時0分
タンパク質・触媒など、分子のカタチごとの安定性・反応性を正しく評価
ポイント
・ 確率密度関数のみを使って表される従来の式の問題点を克服する、新しい公式を考案
・ 分子の形の表示法に依存せず自由エネルギー地形を計算することが可能に
・ 触媒反応やタンパク質の折りたたみ反応のメカニズム解明や創薬の分野へ貢献
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202405010244-O1-p4ZZ1Sdb】
概 要
国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)機能材料コンピュテーショナルデザイン研究センター 材料インフォマティクスチーム(兼 産総研・東北大数理先端材料モデリングオープンイノベーションラボラトリ)中村 壮伸 主任研究員は、反応座標の表示法に依存しない自由エネルギー地形の計算手法を確立しました。
自由エネルギー地形は、設計した触媒の反応が期待通りに進むことをシミュレートしたり、薬効や副作用を予測して医薬品の開発に生かしたりするなど、幅広い分野で活用されています。しかし、従来の手法では、化学反応における分子の立体構造変化の表示方法に依存して異なる自由エネルギー地形を導出してしまうため、定量的な予測や解釈の理論的根拠が薄弱でした。
本研究では分子の変形運動を、ブラウン運動を記述するときに用いられるランジュバン方程式で表現しました。そこに現れる拡散係数を用いることで、形を表す変数の表示方法によらない自由エネルギー地形を導出することに成功しました。この研究成果は、触媒反応やタンパク質の折りたたみ反応について定量的な議論をする上での理論的基盤を定めます。本研究成果の公式を用いることで、触媒や医薬品の設計に際して根拠となる質の高いデータを提供できるようになると期待されます。
なお、本研究成果の詳細は、2024年3月27日(米国東部夏時間)に、米国物理学会の学術誌「Physical Review Letters」の電子版に掲載されました。
下線部は【用語解説】参照
開発の社会的背景
自由エネルギーは、タンパク質の折りたたみや触媒反応を記述する際の基本的な物理量であり、分子の反応性を示します。安定な形状のタンパク質では自由エネルギーが低くなります。反応や折りたたみの際には分子の形が変化し、それに応じて自由エネルギーも変動します。自由エネルギー地形は、分子の取りうる形ごとの自由エネルギーを等高線のように表したものであり、反応の熱力学的性質と動力学的性質を結びつける重要な物理量です。
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