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肝硬変患者における急性腎障害発症は予後を悪化させる

共同通信PRワイヤー / 2024年7月4日 18時0分

 三輪貴生医師らの研究により本邦の肝硬変患者の約27%がAKIを発症し、AKI を発症することで肝硬変患者の予後が有意に悪化することが示されました。またAKI発症に関連する因子としてアミノ酸インバランス、アルコール関連肝疾患、代謝異常関連脂肪性肝疾患が関連することが示唆されました。本研究成果から、本邦の肝硬変患者におけるAKIの予後に対する臨床意義やそのリスク因子が明らかとなり、将来のAKIの予防と健康寿命の伸長に寄与することが期待されます。

 本研究成果は、日本時間2024年6月11日にJournal of Gastroenterology誌で発表されました。


研究背景

 AKIは肝硬変の重大な合併症であり、肝硬変患者の約30%に合併し、AKIを有する患者の死亡率はAKIのない患者に比較して6~7倍高いことが示されています。しかし、本邦の肝硬変患者におけるAKI発症と死亡率との関連、およびAKIのリスク因子についてはほとんど知られていません。したがって、特に日本の肝硬変患者において、AKIの予後への影響を評価し、AKIの発症に関連する因子を明らかにすることは、AKIの早期発見、予防および健康寿命の伸長において重要な課題です。

 肝硬変患者は血中のアミノ酸濃度の変化、すなわちアミノ酸インバランスを示し、ロイシン、イソロイシン、バリンなどの分岐鎖アミノ酸(branched chain amino acids; BCAA)が減少し、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシンなどの芳香族アミノ酸が増加します。BTRは、肝硬変患者におけるアミノ酸インバランスを評価するための簡便なバイオマーカーであり、アミノ酸インバランスは、肝性脳症、肝細胞癌、サルコペニアなど、肝硬変の合併症に関連することが知られています。しかし、肝硬変患者におけるアミノ酸インバランスとAKI発症との関係は、ほとんど研究されていません。本研究では、本邦の肝硬変患者を対象としてAKIの発生率とその死亡率への影響を調査し、アミノ酸インバランスを含めたそのリスク因子について検討しました。


研究成果

 本研究では肝硬変患者567名を対象とし、AKIの発症率と予後との関連について検討しました。またAKI発症のリスク因子について検討しました。

  対象患者の年齢中央値は67歳で50%が男性でした。患者全体のうち、27%が経過観察中にAKIを発症し、AKIの累積発生率は1年で14%、3年で23%、5年で29%でした。本研究結果により肝硬変患者の約2割以上が将来的にAKIを発症し、AKIは本邦の肝硬変患者においても頻度の高い合併症であることが明らかとなりました。

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