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肝硬変患者における急性腎障害発症は予後を悪化させる

共同通信PRワイヤー / 2024年7月4日 18時0分

 次に肝硬変におけるAKI発症と予後との関連について検討しました。AKIの発症、顕性肝性脳症の発症、肝細胞癌の発症を時間依存性変数共変量として考慮したCox比例ハザード回帰分析では、AKI発症が肝予備能や肝細胞がん発症、顕性肝性脳症発症とは独立した予後因子であることが明らかとなりました。AKIを発症した肝硬変患者はそうでない患者と比較してハザード比6.25倍と有意に予後不良であり、AKIの重症度が増すにしたがって生存率が有意に低下することが示されました(図1)。AKI発症のない患者と比較してAKI stage 1でハザード比3.94倍、stage 2でハザード比5.83倍、stage 3で9.39倍と有意に予後の増悪を認めました。このことからAKI発症は本邦の肝硬変患者の予後増悪因子であり、より重症度の高いAKIが予後に寄与することが明らかとなりました。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202407033091-O5-1fK69Ken

 次にAKI発症に関連する因子について死亡を競合リスクとしたFine–Gray比例ハザード回帰分析を用いて検討しました。肝硬変患者では肝予備能の指標であるChild-Pugh分類8)が悪化するにしたがってAKIのリスクが高まることが知られています。本研究では、1年、3年、5年でのAKIの累積発生率は、Child-Pugh分類Aで5%、9%、16%、Bで22%、41%、45%、Cで40%、52%、57%であり(p<0.001; 図2)、本邦の肝硬変患者においても肝予備能が増悪するにしたがってAKIの発症率 が増加することが示されました。また、Fine–Gray比例ハザード回帰分析を用いた多変量解析では、AKIのリスク因子としてBTR、アルコール関連肝疾患、代謝異常関連脂肪性肝疾患が肝予備能とは独立して有意な因子として抽出されました。アミノ酸インバランスの簡易指標であるBTRについて、BTRが4.4以下の患者ではAKIの累積発生率が、BTRが4.4より大きい患者に比べて有意に高い結果でした(1年、3年、5年の累積発生率:21%、34%、42% vs. 7%、10%、15%; p<0.001; 図3)。このことから肝硬変患者に認めるアミノ酸インバランスは肝性脳症などの合併症のみならず、AKIの発症にも寄与している可能性が示唆されました。本研究では、その他のリスク因子として肝硬変の成因であるアルコール関連肝疾患と代謝異常関連脂肪性肝疾患もAKI発症のリスク因子である可能性が示唆されました。実際にB型肝炎やC型肝炎といったウイルス性肝炎に起因する肝硬変患者に比して、アルコール関連肝疾患ではハザード比2.12倍、代謝異常関連脂肪性肝疾患ではハザード比2.72倍でAKI発症のリスクが高いことが 示されました。

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