心血管疾患リスクを早期に発見する指標
共同通信PRワイヤー / 2024年8月1日 14時0分
なお、この技術の詳細は、2024年8月1日に「Hypertension Research」に掲載されました。
下線部は【用語解説】参照
※本プレスリリースでは、化学式や単位記号の上付き・下付き文字を、通常の文字と同じ大きさで表記しております。
正式な表記でご覧になりたい方は、産総研WEBページ(https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2024/pr20240801/pr20240801.html)をご覧ください。
開発の社会的背景
CVDは、国内における主な死亡原因の一つであり、要介護原因ですが、その発症リスクとして動脈硬化があります。動脈硬化の度合いの指標として、動脈壁の硬さを示す動脈スティフネスが注目されています。動脈は伸展性に富み、心臓から駆出される血流を緩衝するクッションの役割を果たします。しかし加齢に伴い伸展性は失われ、クッション作用が減弱してくると、慢性的に心臓に負担が加わり、CVDのリスクになります。動脈スティフネスは加齢とともに増大するため、動脈スティフネス計測による早期からのリスク検出が重要と考えられます。
研究の経緯
動脈内を伝わる脈波の速さを用いた「PWV法」は、最も信頼性の高い動脈スティフネス評価法として世界的に認知されています。しかし、熟練した測定技術を要することから、多くの国々では、臨床現場での普及はあまり進んでいませんでした。そのような状況下で、上腕と足首に血圧測定カフを巻いて脈波伝播速度を計測するbaPWVならびに心臓足首血管指数(CAVI)の計測装置を開発したわが国は、世界に先駆けて20年ほど前から、動脈硬化の測定の一般臨床医療への導入を実現しました。ただし、baPWVやCAVIでは心臓への負担軽減に最も寄与すると考えられる「心臓付近の動脈(近位大動脈)」のスティフネスを十分には評価できません。
この課題に対し、産総研はテキサス大学と共同で、PWV法による近位大動脈スティフネス評価法の開発を進めてきました。それまで上腕の動脈スティフネスの指標と考えられてきたhbPWVに注目し、まず、実測が難しく、従来の身長のみを使用した推定式の妥当性が課題であった動脈長を性別や身長などから推定する式を開発(2018年6月Hypertension Research掲載)し、次いで、この推定式を使用して得たhbPWVが近位大動脈スティフネスを反映し、CVDの発症と強く関連する大動脈の血圧と強い関係にあることを明らかにしました(2019年1月American Journal Hypertension掲載)。今回はこれらの結果をもとに、10年以上にわたる企業健診の追跡データを用いて、hbPWVの加齢変化特性ならびに、CVDリスクとの関連性について、国内の臨床検査で広く使用されているbaPWVと比較・検討しました。
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