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心血管疾患リスクを早期に発見する指標

共同通信PRワイヤー / 2024年8月1日 14時0分


なお、本研究開発は、産総研生命工学領域、他5領域で進める次世代治療・診断技術研究ラボが推進する領域融合プロジェクトの一環として行われました。また、独立行政法人 日本学術振興会 科学研究費助成事業「基盤研究(B)」(2020-2024年度)および挑戦的研究(開拓)(2021-2024年度)による支援を受けています。


研究の内容

大動脈は伸展性に富み、左心室からの血流駆出に対し伸展と復元を繰り返します。これにより左心室が血液を送り出す際に生じる血圧の過大な上昇を緩和したり(左室後負荷の低減)、脳や腎臓などの末梢臓器に対する物理的ストレスになる血流・血圧の拍動性変動を減弱化します(図1)。しかし、動脈壁の伸展性は加齢とともに低下(動脈スティフネスが増大)します。それにより、左室後負荷および血流・血圧の拍動性変動が増強されます。これが慢性化し、心臓や末梢臓器に恒常的にダメージが加わることでCVDが誘引されます。心臓や脳に対するダメージを考えると、心臓と脳とをつなぐ近位大動脈のスティフネスが重要と考えられます。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202407314421-O2-u751Lw40


現在、近位大動脈の機能を非侵襲的に評価する方法はMRI以外にはありません。しかし、CVD発症を予防するためには、簡便かつ高精度に近位大動脈スティフネスを評価することが求められます。この課題に対し、産総研はテキサス大学と共同で、PWV法による近位大動脈スティフネス評価法の開発を進めてきました。これまでに、心音と上腕脈波波形の同時計測で算出するhbPWVが、近位大動脈スティフネスを反映し、CVDリスク指標と強い関係にあることを報告しました。今回はこの研究をさらに発展させ、CVDの発症予防におけるhbPWVの有用性をより明確にすることを目的としました。


10年以上にわたる企業健診の追跡データを用い、hbPWVと年齢ならびにCVDリスク(フラミンガム一般的CVDリスクスコアにより評価)との関連性を、横断研究(対象者7,868名)と追跡研究(対象者3,710名、平均追跡期間9.1±2.0年)により評価しました。年齢との関連性に関しては、横断研究、追跡研究とも、hbPWVがbaPWVよりも強い相関関係を示しました。図2に追跡研究における男性のhbPWVとbaPWVの加齢変化を個人ごとに示しています(図中には男性の結果のみ示していますが、女性でもほぼ同様の結果が得られています)。ひとりひとりの直線の傾きから加齢に伴うPWVの増加量を調べると、baPWVの増加量は高齢になるほど大きい、すなわち加齢に伴いスティフネスの増大が急峻になるという、先行研究2)や本研究の横断研究と同様の傾向を示しました(図3)。これに対し、hbPWVの増加量は年齢群の間に有意差を示しませんでした。このことは、hbPWVによって評価される動脈スティフネスは30歳代から一貫して増大し続けることを示しています。

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