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「便器のふたを閉めて流してください」は衛生的か?

共同通信PRワイヤー / 2024年10月28日 14時0分


下線部は【用語解説】参照


※本プレスリリースでは、化学式や単位記号の上付き・下付き文字を、通常の文字と同じ大きさで表記しております。

正式な表記でご覧になりたい方は、産総研WEBページ

https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2024/pr20241028/pr20241028.html )をご覧ください。


開発の社会的背景

コロナ禍以降、ウイルスの汚染リスクを抑制する衛生管理の重要性が再認識されています。しかし、これまで水洗トイレの衛生度は特段の科学的根拠に基づかない経験的な基準により管理されており、ウイルスの汚染リスク抑制という観点での科学的な根拠は乏しいものでした。水洗時のふたの開閉はウイルスの汚染リスクにどの程度影響を与えるのか、などについての科学的根拠に基づく知見は、衛生管理に重要です。


研究の経緯

産総研は、2020年からコロナ禍対策技術の研究開発を推進しており、空間を漂うウイルスの定量化などにも成功しています。さらに、その技術を人の生活だけではなく、畜産分野で活用するための実証なども進めてきました(2023年10月31日 産総研プレス発表)。また、ウイルスの迅速・高感度な検出技術の開発を通じて、健康や食品衛生の向上に関わる研究も推進してきました(2022年5月19日 産総研プレス発表)。そして、現在では、生活環境の衛生管理に関わる研究開発にも取り組みを広げています。


日本の水洗トイレは世界的に見ても衛生状態がよく管理されており、特段の注意を払わなくても安全に利用できている側面もあります。しかし、それを客観的に検証するきっかけとなる科学的なデータを提示することには大きな価値があると考え、今回、これまでに私たちが培ってきた技術を生かしながら、水洗トイレの衛生管理をさらに進める研究に取り組むことにしました。


研究の内容

本研究ではラボ内に約12 m3の密閉性のブース(図1)を設置し、トイレを模した個室に便器を設置(図2)の上、以下の二つの計測を行いました。一つ目は、部屋の湿度や便器のふたの開閉によって、水洗時に発生するエアロゾルの量や広がり方がどのように影響を受けるかについて、パーティクルカウンターという装置を用いた検証です。二つ目は、水洗によって発生する飛沫と共に空間に放出される、または便器に付着するウイルス量の測定です。トイレ利用者が水洗することでどの程度ウイルスが飛散するかを推定するため、模擬ウイルスを含む飛沫の汚染リスクをPCR法によって定量的に評価しました。

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