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「便器のふたを閉めて流してください」は衛生的か?

共同通信PRワイヤー / 2024年10月28日 14時0分


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202410248718-O7-HT0f69p2


実験から、飛沫の発生状況は理解できましたが、水洗時には、どの程度のウイルス飛散が生じるのか、そして、どのような衛生管理をすれば安全に利用できるのかを考察するため、模擬ウイルス試料を調製し、便器内にためた状態でふたを閉めて水洗する実験を行いました。水洗によって生じる飛沫は、さまざまなところに付着し、残留すると考えられます。そこで、図6左に示すように、①便座のふたの裏側、②便座(上面)、③便座(裏面)、④便座外(手前)、⑤便座外(手前横)、⑥便座外(横奥)、⑦壁の各部を綿棒で拭い取り、PCR法によって定量化したところ、図6右のような結果となりました。すなわち、便器内に排出されたウイルスは、便器ふたの裏側、便座(上面・裏面)の合計で2分の1強、そして、便器の外に2分の1弱が放出されることが分かりました。一方、便座およびふた、ならびに便器の外に放出されるウイルスの量については、便器内に展開したウイルス量の100,000分の1以下であり、感染に関与しうるウイルス量はわずかといえます。しかし、絶対量としてはゼロではないことを考慮すると、使用前の便座の清拭や水洗時に便器から15 cm以上離れるなどのアクションは感染リスクをより低減するために効果的であるといえます。


もう少し詳しく見る(ウイルス付着密度で比較する)と、図6に示される通り、主なところでは、③便座(裏面)に約3分の1、②便座(上面)に約6分の1、⑦壁(両側合計)に約3分の1放出されることが示されました。したがって、トイレを掃除する場合は、定期的にふたや便座(図6の①〜③)だけでなく、壁(図6の⑦:今回の実験では便器の端から約25 cmの距離)の拭き取りも推奨されます。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202410248718-O8-n7PhiP37


今回の研究では、水洗トイレの使用時に発生するエアロゾルの量や空間分布、ならびに、模擬ウイルス試料中に含まれるウイルスの飛散など、日常の使用や清掃などの衛生管理に対しての留意点を明らかにしました。エアロゾルの発生に関して、提案・実用化されているさまざまな水洗方式の違いについても今後検討を進め、洗浄効率や節水性能だけではなく、衛生管理・感染防止の面でも優れた便器の開発に向けた情報を蓄積することができると考えています。

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