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「便器のふたを閉めて流してください」は衛生的か?

共同通信PRワイヤー / 2024年10月28日 14時0分


 

【動画:https://www.youtube.com/watch?v=hEe1s9twyh4

動画 トイレ水洗時に発生する飛沫・エアロゾル


次に、水洗トイレの便器から発生するエアロゾルの粒子数と空間分布を測定するため、図4に示したA〜Cの三つの面内各点で、直径0.3, 0.5, 1, 3, 5, 10 µmの各粒径を持つエアロゾルの粒子数を計測しました。その結果、図4中の左向き(便器の外側方向)におおむね5 cm〜15 cm、上方には約40 cmの範囲にエアロゾルの高濃度領域が及ぶことを見いだしました。また、A〜C各面内のデータ全体を考慮すると、エアロゾルの分布は空間的に均等ではなく、前後に指向性を持って放出されていることが分かりました。これは、エアロゾルが自由拡散ではなく、便器内の水流が作る空気の流れに乗って運ばれた結果であると考えられます。


また、環境湿度(相対湿度)が30, 50, 70%と変化していくにつれて、発生エアロゾルの総体積は増大し、例えば、30%と70%を比較すると4.6倍の差に至ることを見いだしました。図4下の図はA面内でのエアロゾルの空間分布を環境湿度ごとに比較したものです。日本では高湿な条件が通年で非常に多い(例えば、1日の平均湿度が70%を超える日数は東京の場合、約200日にもなる)ため、エアロゾルの発生・拡散が生じやすい環境といえます。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202410248718-O6-V3jhA5Il


さらに、エアロゾル発生(空間分布)がふたの開閉によってどのように異なるかを知るため、一例として、粒径1 µmのエアロゾルの空間分布の測定結果の比較を図5に示しました。当然ながら、ふたを閉めると上方へのエアロゾル発生・拡散はなくなりますが、その一方で、使用者側(図5中左方向)に15 cm程度の距離までエアロゾルが染み出すことが分かりました。これは水流によって便器内の空気が押し出され、ふた・便座と便器の隙間から外に向けて勢いよく放出された結果と考えられます(ここでは図の見やすさの観点から、図5右のカラースケールの最大値は左の10分の1としており粒径1 µmのエアロゾルの絶対数は約4分の1に低減されています)。


以上の結果から、エアロゾルから受ける影響を低減する簡単な対策として、水洗時には便器から少なくとも15 cm以上離れて操作するのが有効といえることが分かりました。

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