ネイチャーポジティブな循環型社会を創る!発電型のバイオ炭生産技術
共同通信PRワイヤー / 2024年10月31日 14時0分
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202410298971-O4-eWI93hOr】
本技術の優位性は、小規模でも高効率な運用が可能な点です。大規模な炭化炉とは異なり、本システムは縦・横・高さが各2 mで設計されており、4トントラックで運搬可能です。典型的な炭化プロセスでは5~10時間程度の時間をかけてバイオ炭製造が行われているため、今回は平均的な時間として8時間を仮定して解析を行いました。熱電変換ユニットでは炭化にかかる8時間の間安定的に0.92 kWの発電を行うことができるため、合計7.4 kWhの電力を得ることができます。これにより、系統電源が利用できない山間部で導入が可能となり、バイオ炭を地産地消することで、地域の未利用バイオマスを活用した分散型エネルギー生産システムの構築が期待できます。また、本システムで生産されるバイオ炭は、土壌改良材としての効果が期待できます。バイオ炭の多孔質構造は、土壌の水分保持能力を向上させ、養分の保持にも役立ちます。本技術の導入による適正量のバイオ炭利用は、各地域の農地の生産性向上や生物多様性の促進にも貢献し、ネイチャーポジティブな取り組みにもつながります。
本技術は、未利用バイオマスの有効利用、分散型エネルギーの生産、炭素の長期固定、土壌改良による農地の生産性向上という四つの側面から、持続可能な社会の実現に貢献します。特に、日本のように森林資源が豊富で、かつ地理的に分散している国においては、地域のエネルギー自給率の向上と炭素隔離による気候変動対策の両立を可能にします。
今後の予定
今回、バイオマスの炭化とそれに伴う発電を同時に行うシステムの設計コンセプトに基づき、熱電変換ユニットのラボスケール試験を実施し、さらに熱電変換ユニットと断熱材を組み込んだ新規構造の小型炭化炉を想定した数値解析を実施することで、その効果を定量的に明らかにしました。
今後は、産総研開発の高性能熱電変換モジュール*3, 4などを利用し、さらなる高性能化を目指すとともに、実際の森林残渣を用いた実証実験を行い、さまざまなバイオマス原料や環境条件下での性能評価を進めます。また、小型化・軽量化を図り、可搬性を高めて、より多くの地域に導入できるシステムの実現を目指します。さらに、生成されたバイオ炭の土壌改良効果や長期的な炭素貯留能力についても研究を進め、環境への総合的な貢献度を評価します。2030年の社会実装に向けて、研究室スケールでの概念実証レベルから、規模を拡大し、実証実験を行う予定です。将来的には、本技術を基に、地域循環型のエネルギー・物質システムの構築を目指し、持続可能な社会の実現に貢献します。
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