材料データを秘匿しながらベイズ最適化を行う材料探索アプリを開発
共同通信PRワイヤー / 2024年12月24日 10時0分
他者に知られない形で物性データを分散したまま機械学習
ポイント
・ 物性データを秘匿しながらベイズ最適化を行うアプリを開発し磁石化合物での化学組成の最適化に成功
・ 情報漏洩のリスクが低い秘密分散技術と、データを無意味化して計算する秘匿計算技術を併用
・ 秘匿計算を前提としたデータ共用が促進され、マテリアルズ・インフォマティクスが加速されると期待
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202412232155-O1-4OU5I8qJ】
概 要
国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)機能材料コンピュテーショナルデザイン研究センター(以下「CD-FMat」という) 深澤太郎 研究チーム付らは、産総研サイバーフィジカルセキュリティ研究センターで理論設計された手法に基づき、秘匿計算を用いてベイズ最適化の計算を行うアプリを開発しました。
近年、既存の膨大な物性データを活用した機械学習により新しい機能性材料の探索を行う手法が注目を集めています。この手法の効率を高めるためには、多くのデータを蓄積することが重要です。
今回、材料探索で実績のあるベイズ最適化と呼ばれる計算を、データを秘匿しながら実行可能な技術を開発し、アプリに実装しました。これには情報漏洩のリスクが低い秘密分散技術と、データを無意味化して計算する秘匿計算技術を利用しており、活用される物性データの秘密を守りながら計算できます。実際に、開発したアプリを使用して、磁石化合物の化学組成の最適化に成功しました。
この技術を使うと、新規材料探索のための拠点にデータを集約する際に、独自に取得した物性データを他者に知られることがないため、所有者がデータを共用する際のハードルが低くなります。そのため、共用できるデータが増え、材料探索がより加速することが期待されます。
なお、この成果の詳細は、2024年12月24日(日本時間)に「Journal of the Physical Society of Japan」に掲載されます。
下線部は【用語解説】参照
開発の社会的背景
近年、既存の膨大な物性データを活用した情報科学的手法により新しい機能性材料の探索を行うマテリアルズ・インフォマティクスが注目を集めています。この手法は、機械学習などの技術を用いて高速かつ効率的に材料開発を進めるためのものであり、他の分野におけるAI技術と同様に、膨大なデータを必要とします。論文や特許等で公開されているデータだけでなく、ラボスケールで個別に取得されているデータを拠点に集約することでその効果が高まります。
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