ナムコには珍しい? 中身が微妙だったファミコンソフト 「運だけが頼り」
マグミクス / 2023年3月18日 20時50分
■作り込みが惜しかったソフトも?
今年2023年で創業68周年を迎えるナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)は、ビデオゲーム市場の黎明期から数々の名作を生み出したメーカーとして知られています。業務用ゲーム機(アーケード)から、ファミコンなどの家庭用ゲーム機まで、プラットフォームを問わずゲームソフトを供給し、1980年代には自社のソフトラインナップを統一したブランド「namcot」も誕生しました。
しかし過去を振り返ってみると、ナムコによって送り出されたゲームがすべて良作だったというわけではありません。なかには「遊べるけれど全体的に雑」だったり、「コンセプトが不安定」な作品もありました。今回は1980年代に発売されたナムコ産ファミコンソフトのうち、プレイヤーによっては内容が微妙だと感じてしまう3本を振り返ります。
●マインドシーカー(1989年4月18日発売)
1989年の春に登場した『マインドシーカー』は、ゲーム中の多種多様な訓練を通してプレイヤーの超能力を引き出す「エスパー養成アドベンチャー」です。「楽しみながら超能力が開発されるように出来ている」とうたっていますが、科学的な根拠は全くの不明。そのため、本作を遊んだからといって超能力が扱えるようになるわけではありません。
念力・予知・透視……などなど、作中では事あるごとに超能力を披露することが求められますが、実際はどれもランダム性に偏ったミニゲーム。「正解パターンを探し出す」といった楽しみ方を見出すのは非常に困難で、ゲームスタートからエンディングまで手順がほとんど変わらないのも単調と言わざるを得ません。
文字通り、自分自身の運が悪いといつまで経ってもエンディングへたどり着けない『マインドシーカー』。プレイ中に挟まれるエスパー清田氏(監修者)のトンデモ話を笑い飛ばせるかどうかで、本作に対する印象は大きく変わるのではないでしょうか。
●時空勇伝デビアス(1987年11月21日発売)
プレイヤー自身が主人公となり、世界を救う冒険へ旅立つ『時空勇伝デビアス』(以下、デビアス)。本作の舞台「アルマータ王国」は魔王によって支配されており、夜になるとモンスターが跋扈(ばっこ)する危険地帯が広がっています。いにしえの勇者の生まれ変わりとして、プレイヤーは各地の魔境(ダンジョン)を攻略しながら魔王討伐に乗り出します。
アクションゲームにRPG要素を取り入れ、勇者が魔王を倒すというシンプルかつ力強いストーリーでアクセントを加えたゲームで、「昼夜の概念」や「ソフト本体の付属品と連動したお助けシステム」といった意欲的なシステムも搭載されている反面、肝心のプレイフィール面で見過ごせない粗さが目立ちます。
例えばNPCとの会話時、シビアな接触判定に手こずるのはまだまだ序の口。ダンジョン突入後も嫌らしいトラップをかいくぐり、ボスを見つけるためにひたすら迷宮を歩き回らなければいけません。何から何まで駄作というわけではないものの、付属品をなくしてしまうとノーヒントで攻略しなければならず、そういった点も含めて「スタートからエンディングまで快適に遊べる」とは言いづらい作品です。
■いきなりダース・ベイダーと決戦? 何かが違った『スター・ウォーズ』
1987年11月21日発売『時空勇伝デビアス』。ソフト付属品の「アーロンのお守り」はゲーム内コマンドと連動し、プレイヤーへ恩恵を与える
●スター・ウォーズ(1987年12月4日発売)
1977年に産声を上げ、関連産業の総収益が3兆円を越えるSF映画『スター・ウォーズ』。映画史における同シリーズの影響力はもはや説明不要でしょう。莫大な人気を市場へ最大限に還元するべく、キャラクターグッズなどの派生商品が当時から大量に作られ、現在までに数え切れないほどの利益を生み出しています。
ナムコによる1987年のファミコン作品『スター・ウォーズ』もそうした事例に含まれますが、中身は原作改変の嵐とでも言うべきアクションゲームでした。大枠は第一作目『スターウォーズ エピソード4/新たなる希望』に即しているものの、原作の再現ポイントは一部にとどまっており、『スター・ウォーズ』をよく知っているプレイヤーからすれば見過ごせない点が多々目立ちます。
とりわけ「なぜ?」と首をかしげたくなるのが、各ステージでお決まりのように立ちはだかる「ダース・ベイダー」。なぜか最序盤のステージ1から姿を現し、しかもサソリやサメの姿に化けて「ルーク・スカイウォーカー」に牙をむきます。
もちろん本物のダース・ベイダーもいますが、「俺さまはサソリベイダーだ!」と出会い頭に語る偽ダース・ベイダーの登場シーンは、否が応でも本作の印象を決定づけてしまいました。作り込まれたグラフィックや音楽など褒めるべき点はあれど、やはり迷作という印象を受けたプレイヤーが多かったのではないでしょうか。
(龍田優貴)
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