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「どう見てもザクです」ジオン大嫌いティターンズはなぜ「ハイザック」を採用したのか

マグミクス / 2024年3月30日 6時10分

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■「ジム・クゥエル」と大差ないどころか…後退してる?

「ハイザック」とは、アニメ『機動戦士Zガンダム』に登場するモビルスーツ(以下MS)で、敵側陣営である地球連邦軍内の軍閥「ティターンズ」が採用した主力量産型MSです。

 地球連邦軍と旧ジオン軍の技術力が融合した機体という設定で、胸回りは連邦系に似たデザインであり、盾にも連邦軍の十字マークが見えるものの、それ以外の部分はジオン軍の主力MS「ザクII」によく似た機体です。

 放映当初は「連邦軍がジオン系技術者の協力を得て設計し、中途半端に両軍の技術が融合したMS」という設定でしたが、現在では連邦軍が一年戦争後に運用していた、後期生産型「ザクII F2型」や、「アクトザク」をベースに、地球連邦軍とアナハイム・エレクトロニクスが共同開発した機体とされています。

 性能面では前作『機動戦士ガンダム』に登場する、「ガンダム」や「ゲルググ」をやや上回る機体です。

●ハイザック
・ジェネレーター出力:1428kw
・スラスター総推力:6万4800kg
・センサー有効範囲:8900m

●ガンダム
・ジェネレーター出力:1380kw
・スラスター総推力:5万5500kg
・センサー有効範囲:5700m

●ゲルググ
・ジェネレーター出力:1440kw
・スラスター総推力:6万1500kg
・センサー有効範囲:6300m

 ただ、「ガンダム」や「ゲルググ」では可能である「ビームライフルとビームサーベル(ナギナタ)の同時使用」が、設計の欠陥により困難であり、ガンダムの装甲に通用しなかった「ザク・マシンガン」を一部改良したとはいえ射撃兵装にしているなど、宇宙世紀0087年ではもちろん、正式採用された0085年でも微妙な機体といえます。

「ハイザックはティターンズに優先して配備された」という設定なので、ティターンズ=精鋭部隊用のMSとなりますが、そのティターンズが先に主力MSとして配備していた「ジム・クゥエル」と比較しても、あまり優れたところがないように思います。

●ジム・クゥエル
・ジェネレーター出力:1420kw
・スラスター総推力:6万1480kg
・センサー有効範囲:不明(「ジムスナイパーII」が8700m、「ジムII」が8800mなので、これらに近いものと思われる)

「ジム・クゥエル」の運用開始は0083年12月、「ハイザック」のロールアウトは0084年7月ですから、両機は世代差が少なく、緊縮財政であるはずの一年戦争後の連邦軍が、わざわざ置き換えるだけの性能差はない機体同士だと思えます。

「ジム・クゥエル」は連邦系だけの技術で作られており、ジオン狩り部隊であるティターンズに相応しい機体ですし、ビームライフルとビームサーベルの同時使用も可能です。

「ハイザック」にはアナハイム製の「リニアシート」が搭載されており、「ジム・クゥエル」も近代化改修時にリニアシートが搭載されたという資料もあります。リニアシートは普通の「ジム」を改修した「ジムII」でも0085年以降に装備されているものですから、「ジム・クゥエル」でも装備可能だったと考えられます。

■それでも「ハイザック」を採用したワケ

ビームライフルとビームサーベルの同時使用が可能。BANDAI SPIRITS「HG 1/144 ジム・クゥエル」 (C)創通・サンライズ

「敵のMSと分かるために、ザクっぽい外見である必要があった」のようなメタ的な見解ではなく、作品の世界観の中で「なぜそうなったのか」を考察していきましょう。なぜティターンズは、性能上の優位が少ない「ハイザック」を「ジム・クゥエル」の後継機として採用したのでしょうか。

「ハイザック」を「ジム・クゥエル」の後継機として採用した理由、それは「ティターンズの政治的な思惑」ではないでしょうか。

 0084年の「ハイザック」初号機ロールアウト時は、「ジオン残党がテロ行為を続けている時期」です。ティターンズはスペースコロニーに毒ガスを注入する「30バンチ事件」を起こすような組織ですから、特にジオン残党に対しては非合法な作戦でも実行できるでしょう。

「ザク」に見える「ハイザック」の姿は、ジオン残党を油断させたり、おびき寄せたりするために有用と考えられたのではないでしょうか。だからこそカラーリングも、ティターンズ機にも関わらず、緑系の「ザクII」に似た色合いだったのでしょう。そう考えるのは紺色+黒のティターンズ色に塗られた「ハイザック」も存在するからです。なお連邦軍所属の「ザクII」は、白ないしベージュっぽいカラーリングに塗り替えられて運用されています。

 そして「ハイザック」の存在が敵対する「エゥーゴ」に認知されたとしても、「『一年戦争中にジオンのためにザクを生産していた旧ジオニック社』を吸収したアナハイムが、ジオン狩り部隊ティターンズのために新型のザクを生産している」という事実が「スペースノイドを絶望させる。どちらに転んでも、ティターンズの利益になる」と考えられたのでしょう。

 こうした政治的効果も見込まれて、「ハイザック」の後継機にもジオン系の外見をした、アナハイム製の「マラサイ」を採用したのでしょう。

「ジオン狩り部隊がどう見ても、ジオンのザクみたいな新型機を採用している」という、一見おかしな行為は、ティターンズの作戦がスペースノイドに対する政治的思惑で行われていることを考えるなら「おかしくはない」とも考えられそうです。

(安藤昌季)

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