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ゲーセンにずらり並んだ「アストロシティ」 青春を燃やし格闘ゲームに打ち込んだ日々

マグミクス / 2020年7月14日 18時10分

写真

■ずらりと並ぶアストロシティ そして人

 2020年12月に、セガから懐かしのアーケード筐体(きょうたい)「アストロシティ」をモチーフとした新型ゲーム機「アストロシティミニ」が発売されると発表されました。  1993年に発売されたアストロシティは『バーチャファイター』『バーチャファイター2』の流行と共に全国のゲームセンターに爆発的に普及し、大型のゲームセンターに数十台のアストロシティが向かい合わせにずらりと並んでいる光景は、珍しいものではありませんでした。ゲームセンターの風景が、平型筐体からアストロシティのようなアップライト筐体へと入れ替わっていく時代に立ち会ったライターの早川清一朗さんが、当時を回想します。

* * *

 特にアーケードゲームの筐体に興味がなかった筆者は、つい先日発表された「アストロシティミニ」のおかげで、「あの筐体、アストロシティって言うんだ」と知ることになりました。白くて大きな、レバー1本とボタン6つの、1990年代に格闘ゲームをやっていた人間ならどこででも当たり前のように見ていたそれは、今ではゲームセンターと共に少しずつ姿を消しつつあります。特に世界中をむしばむ新型コロナウイルスの影響で、かろうじて持ちこたえていたゲームセンターが力尽きていく現状において、アストロシティを見かける環境はさらに急速に減少しつつあります。かつて自分が青春を燃やし格闘ゲームに打ち込んでいた時代の風景が消えていく姿は、とてつもなく寂しいものです。

 さて、筆者がゲームセンターに通い始めた1990年代の初頭、ゲームセンターの筐体は、インベーダーゲームの流れを汲む平型筐体が主流でした。そこに1980年代半ばからゲームセンターで存在感を発揮していた『アウトラン』や『アフターバーナーII』などの大型筐体が狭いスペースに工夫して置かれており、学生たちが乏しい小遣いをつぎ込んで、持て余す若さを発散していたのです。

 その光景が変化し始めたのが、1990年代の前半です。『ストリートファイターII』の発売により誕生した対戦格闘ゲームという文化は瞬く間にアーケードゲームの世界を席巻し、テーブル筐体が画面を横から見るアップライト筐体に次々と入れ替えられていきました。

■リアルファイト防止に役立った

アーケードゲームに興じた日々(画像:写真AC)

 対戦格闘ゲームが流行り始めた最初の頃は、プレイヤーがふたり並んで対戦することも多く、しばしばトラブルが発生していました。負けそうになると相手に膝蹴りを入れる、灰皿を投げつける、にらみつける、脅す、挙句の果てには殴りかかるなど、筆者自身もいろいろな暴力沙汰を目にしましたし、時には筆者自身が被害者になることもありました。

 しかし、やがてアップライト筐体を向かい合わせにした対戦台が登場すると、いくらか状況はマシになりました。対戦相手の顔を直接見ないで済むようになった他、筐体の向こうで負けている側が台をバンバン叩き始めたり、仲間を集め始めたりしても、逃げる時間を確保できたからです。

 ただ、初期のアップライト筐体は金属製であり非常に重く、店員にとっては搬入搬出がかなりの負担となっていたそうです。当時、ナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)の直営店ではエメラルドグリーン色の筐体「コンソレット18」がずらりと並べられていましたが、この導入にはかなりの苦労があったと後に聞かされたことがあります。

 そうして1993年、「アストロシティ」は『バーチャファイター』と共にゲームセンターにデビューを飾ります。この筐体は樹脂製だったため他の筐体と比較すると軽量で、導入もしやすかったこともあり、瞬く間に普及しました。『バーチャファイター2』全盛の頃は、ゲームセンターにずらりと「アストロシティ」の対戦台が並んでおり、その後ろに対戦を待つプレイヤーがまたずらりと列をなしている光景など、珍しくも何ともなかったのです。一部の熱狂的なマニアのなかには個人でアストロシティと基板を購入し、自宅に置いていた人も存在しています。もちろん「アストロシティ」は対戦型のゲームだけでなく、他のアーケードゲームにも使われており、ゲームセンターに通っていた人間にとって、何ら特別な存在ではない、ただそこに、当たり前に存在している風景の一部となっていました。

 あれから20年以上の時間が経過し、今では「アストロシティ」が並んでいる光景を見るのは難しくなってしまいました。それでも今年「アストロシティミニ」が発売されるのは、あの頃の風景を記憶にとどめている方が大勢いることの証でしょう。

 ひとつ予言します。誰かが必ず、大量の「アストロシティ」を購入して当時のゲームセンターを再現してくれるでしょう。やるのは筆者かもしれませんし、もしかしたら、あなたかもしれません。

(早川清一朗)

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