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『春とみどり』「居場所」をめぐる、アラサー女性と女子中学生の切ない同居ストーリー

マグミクス / 2020年7月30日 19時10分

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■不器用でも少しずつ、お互いの「居場所」になっていく

『春とみどり』(著・深海紺)は、とあるアラサー女性と、亡くなった親友の娘が同居する、少し切なくもかけがえのない日々の物語です。2020年7月10日(金)にフレックスコミックスより単行本第3巻が発売され、完結。SNSでも「1度読んでいるのに、ぐしゃぐしゃに泣いた」「この作品に出会えて本当に良かった」と評判です。

 31歳の雪平みどり(ゆきひら・みどり)は、人づきあいが苦手な会社員。会社の飲み会に誘われる前にひっそりと帰宅しては、カップラーメンとコンビニおにぎりでご飯を済ませるような日々を送っていました。そんなある日、中学時代に好きだった親友の橘つぐみ(たちばな・つぐみ)の訃報を知ったみどりは、彼女の葬儀へ出向きます。そこでつぐみそっくりの彼女の娘・春子に出会ったみどりは、つい「私と一緒に暮らしましょう」と言ってしまい――?

 人づきあいが苦手なみどりと、新しい学校でもすぐ友達を作ってしまう春子は全くタイプが違います。「つぐみを失った」という点では同じふたりですが、みどりの「親友として」のつぐみへの思いと、春子の「娘として」のつぐみへの思いも全く違うものであり、その辛さの違いは話が進むにつれて少しずつ見えてきます。そして、ぎこちなさの残る同居を通じて、それぞれの切なさをお互いが徐々に理解していきます。

ふたり暮らしを始めた、みどりと春子。母子家庭で育った春子は、14歳ながらしっかりしていて、「どっちが保護者?」な場面も(『春とみどり』第1巻収録)

 つぐみの思い出話をしてしんみりしてしまったり、自分の知らないつぐみの過去を知ったりと、切ない場面が多い作品ですが、そんなふたりの心の機微や切なさが繊細なタッチで優しく描かれています。一方で、「毎朝お弁当を作ってほしい」という春子に、料理が下手なみどりは作り方を教えてもらうなど、お互いをいたわり合いながら暮らしている様子に、じんわりと心が温かくなるシーンも。

 つい過去を思い出し泣いてしまうみどりと、思い出を早く忘れて未来へ進まねば……と焦る春子。つぐみを失ったことへの向き合い方も正反対なふたりですが、共通しているのはつぐみを「自分の居場所」だと感じていたことです。そして、「春子の居場所を作りたい」と同居を提案したみどり。すれ違いながらも、ふたりはやがてお互いの「居場所」になっていきます。一歩ずつ歩み寄っていくふたりは、とても自然に「つぐみの娘とつぐみの親友」から、「春とみどり」になっていきます。

 徐々に「友達として」仲良くなる春とみどりの同居生活は、第3巻で意外な展開を迎えます。現在、Webコミック誌「COMICメテオ」では第1巻が無料配信中ですので、「忘れられない大切な人」がいる方や、じんわりと温かい涙を流したい方はぜひ読んでみてください。最初は特に切ないシーンが多い本作ですが、さわやかでほっこりとした読後感を味わえます。

(新美友那)

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