ぼっち飯にひきこもり、中二病…グサリと胸に刺さる、主人公がモテないアニメ3選

■恥ずかしいのに見てしまう！　黒歴史を抱えがちな「モテない主人公」たち

　ハーレムアニメを見るのも楽しいですが、時に「そうはならんやろ」と冷めた気持ちになってしまうこと、ありませんか？　逆に、主人公がリアルにモテないアニメもあるんです。「モテ」への執着など共感できる部分もありつつ、時にその辛さが胸に刺さる「主人公がモテないアニメ」を3作品ご紹介します。SNSでも「絶対2周目を見たくない最高のアニメ」「感情移入できすぎる」と評判です。

●『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い！』（2013年7月～放送）

『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い！』は、Webコミック配信サイト「ガンガンONLINE」で連載中の同名マンガを原作としたアニメです。「喪女（モテない女性）」である主人公の高校生活を描いた本作品は、海外でも人気で原作マンガの英語版は米Amazon.comのベストセラーランキング（コミック＆小説部門）で1位を獲得したほどです。

　女子高生になれば自然とモテると思っていた、モテない少女・黒木智子（CV：橘田いずみ）。しかし現実は甘くなく、入学から2か月経っても友達すらできませんでした。クラスの男女がみんなでカラオケに行ったり、ファミレスで勉強しようと話したりしているのを横目に、先生に挨拶できただけで喜ぶ日々。ある日、高校生活を楽しもうと下校後に初めての寄り道をしますが、ひとりでファストフード店に入っているときに、クラスの男女グループがやってきてしまい――？

　モテる気は満々でおしゃれやキャラ変更などの努力もするのに、全くモテない智子。モテようと間違ったおしゃれをして弟に引かれたり、コミュ力を取り戻そうと弟に話しかけて突っぱねられたり、そもそもまともにしゃべれるのは家族だけだったり……。前向きに頑張っているのにいつも空回りしてしまうその様子は、「痛いな……」と恥ずかしくなりつつ目が離せません。思春期特有の自意識過剰さや他責傾向、謎の上から目線を煮詰めて濃縮したようなセリフのオンパレードですが、それをどもったり小声でボソボソ言ったりと、忠実に再現している橘田さんの演技にも注目です。ところどころ名作アニメのパロディが挟まれているのも楽しく、めげない智子をいつのまにか応援したくなる作品です。恥ずかしい話だけではなく終盤ちゃんと希望が持てるので、ぜひ最後まで見てみてください。この作品は、「dアニメストア」「Netflix」「U-NEXT」などで見ることができます。

●『N・H・Kにようこそ！』（2006年7月～放送）

『N・H・Kにようこそ！』　(C)2006 N・H・Kにようこそ!製作委員会

『N・H・Kにようこそ！』は滝本竜彦先生の小説『NHKにようこそ！』を原作としたアニメで、マンガ化もされています。引きこもりの主人公とそれを救おうとする少女を中心とした物語で、アニメ版の前半はマンガ版を、終盤は小説をベースとしています。しかし、小説・マンガ・アニメのいずれも結末が違い、各登場人物の設定も少しずつ異なっているため、同様の世界観で何度も違った展開を楽しめる作品です。

　大学を中退した佐藤達広（CV：小泉豊）は、1日16時間睡眠・無職で引きこもりの自堕落な生活を送っていました。友人もおらず、外出も近くのコンビニに行くときだけ。そんな毎日のなか、妄想しがちになっていた佐藤は「これは全て謎の組織の陰謀だ」と結論付けてしまいます。しかしある日、宗教勧誘で家に来た美少女がもう一度佐藤の家に訪れ、「公園まで来るように」と手紙を残します。公園で待っていた美少女・中原岬（なかはら・みさき／CV：牧野由依）は「私ね、佐藤くんのことを助けに来たの」と謎の契約書を差し出してきて――？

　佐藤の引きこもりっぷりはかなりのもので、灰皿にたまったタバコやシンクに山積みの食器からもその「ダメ人間」さが伺えます。彼女のいない佐藤は岬ちゃんの手紙に浮かれますが、呼び出しの目的はもちろん愛の告白ではありません。公園で渡された契約書の内容は何なのか、岬ちゃんはなぜその契約を持ち出したのか、ぜひアニメでご確認ください。序盤は佐藤の引きこもりについて焦点が当てられますが、実は岬ちゃんもかなり壮絶な過去を背負っています。岬ちゃんはなぜ佐藤のことを助けに来たのか、徐々に明かされるその理由も必見です。この作品は「dアニメストア」「U-NEXT」「バンダイチャンネル」などで見ることができます。

●『中二病でも恋がしたい！』（2012年10月～放送）

『中二病でも恋がしたい！』画像はコンパクト・コレクション Blu-ray（ポニーキャニオン）

『中二病でも恋がしたい！』は、同名ライトノベルを原作としたアニメで、現在第2期まで制作されています。原作ライトノベルは第1回京都アニメーション大賞小説部門で奨励賞を受賞しており、主人公をはじめとした「中二病」患者が次々と登場する設定などが評価されています。

　元「中二病」の高校1年生・富樫勇太（CV：福山潤）は、中学時代の恥ずかしい黒歴史を封印し、わざわざ遠い学校に入学して高校デビューを果たします。しかし、現役の「中二病」であるクラスメイト・小鳥遊六花（たかなし・りっか／CV：内田真礼）になぜかつきまとわれ、自分の過去がばれるのではないかとヒヤヒヤすることに。ある日、勇太は六花に『極東魔術結社』という部活を立ち上げないかと誘われて――？

　思春期に特有の「中二病」をテーマにした作品は珍しく、「ダークフレイムマスター」になりきって「闇の炎に抱かれて消えろ！」と唱える勇太の姿は、中二病をかなり忠実に再現しているといえます。ケガをしていないのに眼帯を常につけていたり、何かとポーズをつけてそれっぽいことを言ってみたり……六花の中二病っぷりもかなりのもの。「元中二病」ならつい恥ずかしくなってしまう要素満載ですが、中二病ならではの妄想を活かした壮大なバトルシーンや、伝説の中二病アニメ・『コードギアス 反逆のルルーシュ』のルルーシュのオマージュが垣間見られ、つい笑ってしまいます。勇太はもちろんモテませんが、タイトルをどう回収してくれるのかにも注目です。この作品は、「dアニメストア」「U-NEXT」「バンダイチャンネル」などで見ることができます。

＊　＊　＊

　彼らがモテない原因はさまざまで、見ているとつい恥ずかしくなってしまうことも。しかしその分、ぐっと共感できるシーンがあるのも事実です。彼らを反面教師としつつも、自分を変えようと前に進むガッツを見習いたくなる3作品です。

※配信状況は記事掲載時点のものです。

（新美友那）