『仮面ライダー』のショッカー三大幹部。昭和の子供が熱狂した、共通の魅力とは?
マグミクス / 2021年1月10日 8時50分
■カードブームも牽引した、地獄の軍団「ショッカー」
いつの世も、ヒーローが輝く陰には強大な敵の存在があります。記録的大ヒットとなった『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』でも、十二鬼月上弦の参“猗窩座”という敵があってこそ、炎柱・煉獄杏寿郎はあれほどまでに輝いたのではないでしょうか?
1970年代から今に至るまで、子供たちのヒーローであり続ける仮面ライダーも、その人気を支えてきたのは強大な敵である怪人たちと言えるでしょう。
1971年から1973年にかけて放送された『仮面ライダー』では、改造人間を使って世界征服を狙う謎の組織“ショッカー”が登場しました。当時、仮面ライダースナックのおまけとして付いてきた「ライダーカード」が大ブームとなりましたが、主役の仮面ライダーもさることながら、一体一体の造形が秀逸な怪人たちの人気もすさまじいものがありました。
時には、まだテレビに登場していない怪人カードが入っている場合もあり、子供たちはカード集めに血道をあげました。カードほしさのあまり、スナックは食べずに捨てるという現象まで現れ、社会問題にもなったほどです。
敵のなかでも特別な存在だったのが、怪人たちを統率する三人の“大幹部”です。ショッカーの中ボス(ショッカーは国際組織なので「日本支部指揮官」という役職)という、悪役中の悪役ながら、子供たちをも熱狂させたその魅力はどんなところにあったのでしょうか?
●冷酷な指揮官だが最後は自ら戦った「ゾル大佐」
初代大幹部である「ゾル大佐」は、“その名を聞き、姿を見た者は必ず死ぬ”と言われたほどの実力者として中近東支部から日本へ派遣されてきた大幹部です。失敗した者は許さないという冷酷さと、部下の服装が少しでも乱れていようものなら厳しく叱責するという真面目さを持つ、軍人気質でした。
人間態として部下を率いていましたが、実はゾル大佐も他の怪人と同じく改造人間で、最後には「狼男」という正体を現し、仮面ライダー2号と戦って散りました。
■「地獄大使」には、名優・萬屋錦之介も嫉妬した
●演技の「怖さ」で大きな反響、「死神博士」
ショッカー三大幹部の中でも絶大な人気を誇った「死神博士」。画像は「仮面ライダー E-CRAPHICS CARD 06死神博士&イカデビル」(バンダイ) (C)石森プロ・東映
ゾル大佐の戦死を受けて登場したのが、大幹部最大のスター「死神博士」です。長身で長髪、白いスーツに黒マントという出で立ちの不気味さは、画面に映るだけで子供たちを震え上がらせました(さらに、演技の怖さは、放送局である毎日放送からもクレームが入るほどだったとか)。“怪人作りの名人”の異名を持つ天才科学者です。
実は死神博士には、身体の弱い妹の命を永らえるために臓器移植の研究をしていたという過去があり、妹亡き後も蘇生術を探し求めていたため、その妹への愛を利用されてショッカーに導かれたのだそうです。切ない来歴の持ち主ですが、いったんショッカーに入れば冷徹無比に人類を襲います。そして死神博士自らも、もちろん改造人間。子供たちは、どんな恐ろしい正体なんだろうとワクワクしながら登場を待ちましたが……変身した姿はまさかの「イカデビル」。「なんでイカ?」と、呆然とした子供たちも多かったようです。
●人間味を感じさせた悪の幹部「地獄大使」
2018年にフィギュアーツとして復活し、往年のファンを狂喜させた「地獄大使」。画像は「BANDAI S.H.Figuarts 仮面ライダー 地獄大使」(バンダイ)
三大幹部の最後は、すでに容姿からも怪人を隠さない「地獄大使」。ファラオの黄金のマスクをモチーフとした派手な姿で活躍しました。とはいえ、真の姿はまた別にあり、ガラガラヘビの能力を備えた「ガラガランダ」に変身しますが、ライダーとの戦いの末爆死します。この地獄大使は死神博士とは対照的に、部下に気さくに声をかけるなどの人間味が魅力でした。
地獄大使が活躍した当時は『仮面ライダー』人気の絶頂期。かの名優・萬屋錦之介氏は溺愛する息子が『仮面ライダー』の大ファンだったことから、地獄大使を演じていた潮健児氏に地獄大使の衣装のまま自宅に来てもらい、初めて息子に尊敬されたと語ったほどです。
ショッカー三大幹部は三人三様ですが、共通しているのは、たとえ悪の道でも一本気でぶれない生き方です。配下の怪人が何度仮面ライダーにやられても、あきらめない心で世界征服に邁進するその姿は、子供たちの心に特別にかっこよく映ったのではないでしょうか?
※記事の一部を修正しました。
(古屋啓子)
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