石破茂総理×野田佳彦代表の党首討論ポイントを読む「当選したら追加公認は?」「公認することはございます」永田町を知る識者らが判定 そして衆議院は解散した
MBSニュース / 2024年10月9日 19時9分
9日の党首討論。石破茂総理と野党党首との真剣勝負ではどんなやりとりがなされたのか。ポイントを絞って振り返るとともに、永田町をよく知る元衆議院議員の豊田真由子さんと、政治ジャーナリストの武田一顕さんがウォッチして優勢や劣勢を判定しました。最も長い時間争ったのは、政界きっての論客、立憲民主党の野田佳彦代表とでした。
(野田代表)「いわゆる“裏金議員”は結局12人が非公認ということになりました。相当程度非公認と総理はおっしゃっていたと思います。正確な日本語で言うと、相当程度が公認じゃないですか、もっと正確に言うと大半が公認じゃないんですか。」
(石破総理)「大変つらい決断ではございましたが、公認しない方を出しました。最終的な判断は、主権者たる国民の皆様方におまかせをいたします。私はこれが甘いとか、いい加減だと、そのようなことを一切考えておりません」
(野田代表)「非公認で立候補されて、当選しましたら、追加公認されるんですか?」
(石破総理)「主権者たる国民の皆様方がご判断をされた場合には、それは公認するということはございます。」
(野田代表)「事実が出たら再調査すると言っていました。それをやるかやらないか聞いているんです。」
(石破総理)「党において誠実に、綿密に今までも調査をいたしてまいりました。どうしても限界がある中で、最大限の努力はいたしてまいりました。」
党首討論ではその後も、裏金事件を巡る対応、石破総理の発言のぶれなど、野党トップからの追及が続きました。
日本維新の会の馬場伸幸代表は「総理は総裁選挙の前、最中にはすぐに解散はやらないとおっしゃった。それはどこかに行ってしまった。」と指摘。共産党の田村智子委員長は、「これだけの物価高ですから、政治の責任でどうやって賃上げを進めるのか、中小企業への直接の支援が必要だ。」と主張。国民民主党の玉木雄一郎代表は「政治に対する信頼が失われてしまったら、難しい政策なんか何一つできないんですよ。御党の危機じゃないんです、日本の危機なんです」と訴えました。
◆野田代表と石破総理の論戦 識者はどう見た?勝者は…
――武田さんと豊田さんに聞きます。初の党首討論、全体の印象は。
(政治ジャーナリスト武田一顕氏)「論客同士のやりとりで、石破総理も引き伸ばし答弁みたいな冗長なものはなく、見どころのある答弁でした。サッカーでいうと、野田代表が何本もシュート打っているけど、石破キーパーが結構ボールをはじいてる。結果、2対1で石破総理の守り勝ちで、大きな失点はなかったのでないか」
(元衆院議員 豊田真由子氏)「今日は引き分けかなと思います。2人とも人柄が出ているというか、野田代表も人格攻撃や喧嘩腰じゃなく、石破総理の方も一生懸命で、説得力があるかどうかは別としても、論理的に整合性はありました。(ただ)大きな失点はなかったと思うんですけれど、聞いている国民の方に納得感があったかっていうとどうでしょう。例えば政治とカネでも、もっと透明化すべきだとか、政治にお金がかかる、みたいな根本のところも全然何も解決しなかった。」
◆石破総理「公認することはございます」
――ポイントを見ていきましょう。選挙後の公認について野田代表が、「当選したら追加公認されるのか」と聞き、石破総理が「国民の皆様方がご判断された場合には、それは公認するということはございます。」と言い切りました。
武田氏「これは両方とも“技あり”。野田代表もいい質問だし、石破総理は逃げずに答えた。刺客候補は立てないわけだから、追加公認はする、お互い議論はかみ合っていた」
豊田氏「普通、追加公認については、みんながどうなの?と思うからあまりはっきり言わないと思ったけれど、(石破総理は)はっきり言いましたね」
武田氏「公認と非公認の基準はよくわからなくて、6人新たに非公認になった人たちが、どういう理由なのかっていうのを、本当はきょう野田代表にもうちょっと突っ込んでもらいたかった」
豊田氏「最初非公認になった6人は、結構選挙が強いのですが、新規の6人って比例復活の方もおられ、不記載額が必ずしも多くない方も入ってるので、政治的な理由なのでしょうか。論理性、整合性にはちょっと欠けるかなと思います。」
◆能登災害めぐり「長時間の討論」
――能登半島の災害についてのやりとりも交わされました。野田代表は「被災地を見て、選挙できると思いましたか」と問い、石破総理は「被災地にアドバイザーというものを派遣しました」と応じました。
豊田氏「石破総理は、被災されてる方が今いろんな思いをお持ちだから、その方たちの民意を聞かなきゃいけないとも言っていました。能登のやりとりは長い時間されたんですけど、出るお金が予備費か補正予算か、みたいな話をずっとしていました。被災地の方にしてみたら、今の状況をどうしてくれるのかっていうことが大事で、そこに心が伝わってるようには見えない」
武田氏「あそこで時間を野田さんに使わせたのも、総理大臣からすると一つのテクニックでした。石破総理は『財務大臣の野田代表なら百も承知だと思いますが・・』ってけしかけ、野田代表がそれに乗っかったところもありました」
◆キックバック「再調査は否定するものではございません」
――続いて、政治資金パーティー収入のキックバックについてのやりとり。野田代表は、「キックバックを幹部が再開したことを裁判所が認定しました。新事実が出たのだから、改めて調査すべきではないか、しないというのであれば『裏金隠し解散』だ」と詰め、これに対して石破総理は「再調査は否定するものではございません。」と答弁しました。
豊田氏「有罪判決を受けたり、新しい事実が出てきたじゃないかというのはおっしゃる通りなので、ここは守り方も難しいところでしたね。」
武田氏「否定するものではございません。という言い方ですね。総理大臣だから、再調査すると言ってしまうと、いつする?選挙前に出せ!となってきますので、こういう言い方になる。新しい事実って日々出てくるわけですから、どこまで出たらやるのかというのも難しく、それをリセットするのは総選挙だと思っている。国会の本会議の代表質問より予算委員会より党首討論は総理大臣にとって神経をすり減らす議論です。」
武田氏「党首討論はその後、維新は憲法議論など、共産党は生活に根ざした政策論などで戦いました。国民の玉木代表はクリーンヒットを打っていて、『政策活動費はこの選挙では使わないんですか』と聞いて、石破総理が、『いや、それは適法な範囲内で使うんです』って言いました、クリーンヒットです。」
石破総理が就任して9日間で解散した衆議院。衆院選は今月15日公示、27日投開票となります。
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