「ポケモンGO」は自閉症にとってのコミュニケーションツール[茂木健一郎]
メディアゴン / 2016年7月24日 7時30分
茂木健一郎[脳科学者]
* * *
自閉症の少年が、「ポケモンGO」を通して他者との関わりを持ち始めたというニュースは、素晴らしいと思った。大いに有り得ることだし、他者とのバトルや、交換を通した関わりを持つこのゲームは、良いインターフェイスとなるだろう。
自閉症(autism)は病気ではなく、一つの脳の個性である。他者とのかかわりを持つことが苦手で、一方、規則性のあることなどには興味を持つ。自閉症スペクトラムという言葉があるように、実際の状況は、人によって随分差異がある。
自閉症の子の一つの特徴として、「心の理論」(theory of mind)、すなわち、他者の心の状態を読み取ることが苦手、ということが言われる。他者の心は、私たちが出会うものの中で最も予想が難しく、不確実なものであり、向き合うことに苦痛を感じてしまうのである。
【参考】「ポケモンGO」が海外でも大ブーム[茂木健一郎]
自閉症の子が、人間よりも、たとえばロボットを通してコミュニケーションした方が本人にとっても、他者にとっても楽でうまくいくことがあるのは、ロボットという、ある程度動作が予想できるインターフェイスが間に入るからである。そのことによって、負荷が減る。
「ポケモンGO」におけるポケモンの種類や、属性、その出現場所やバトルのアルゴリズムは、自閉症の子が得意とする、具体的で定型的な情報である。そのような得意な情報の世界を、自信を持ってインターフェイスとすることで、他者にもよりらくな気持ちで関われるようになるのだろう。
一般に、ゲーミフィケーションは、ルールが明確で、報酬の構造も規則性があるため、自閉症の子がコミュニケーションを学ぶ際に有力な方法の一つとされる。「ポケモンGO」の場合は副産物かもしれないが、今後、この特性に注目したARゲームが出てきたら、素敵なことだと思う。
(本記事は、著者のTwitterを元にした編集・転載記事です)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
茂木健一郎氏 シジミのみそ汁の食べ方に関するマナーを疑問視「くだらない」
東スポWEB / 2024年4月23日 16時59分
-
4/30全国書店にて発売、自閉症児の癇癪・問題行動・ことばの遅れを解決『脳を育てれば会話力がみるみる伸びる! ことばが遅い自閉症児のおうち療育』
PR TIMES / 2024年4月22日 10時45分
-
茂木健一郎、「いちユーザーとして」メタ社を断罪 詐欺広告めぐる声明に「極めて無責任」「何をやってるんだ」
J-CASTニュース / 2024年4月19日 14時27分
-
あらゆるリスクを考え事前に議論を! 今、世界で注目の「脳埋め込みデバイス」
ananweb / 2024年4月6日 21時0分
-
倉持由香、2歳8ヶ月息子の自閉スペクトラム症を初公表 涙ながらに胸の内を明かす「可能性を狭めずに…」
ORICON NEWS / 2024年4月4日 20時19分
ランキング
-
1元モー娘、市井氏が議員辞職 参院、在職1日は最短
共同通信 / 2024年4月26日 10時48分
-
2「富士山を遮断」人気撮影スポットに幅20メートルの黒幕を町が設置へ 観光客の“マナー違反”に「最終手段をとらざるを得なかった」 観光客・住民から様々な声【news23】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年4月26日 13時20分
-
3万博着工遅れで露見した日本の建築士の能力不足「世界を知らない」 一級建築士が証言
東スポWEB / 2024年4月25日 6時18分
-
4「子ども乗せてんのよ!」大炎上“爆走ママチャリ”の危険と“晒す側”にもある問題点
週刊女性PRIME / 2024年4月26日 6時0分
-
5那須2遺体、容疑者の車から血の付いたハンマー見つかる 高額報酬受領もほのめかす
産経ニュース / 2024年4月26日 17時49分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください