新型ステップワゴンは内装もアップグレード! ライバルの新型ノア/ヴォクシーにガチの勝負を挑む
MōTA / 2022年1月10日 12時0分
ホンダが2022年1月7日(金)、6代目となる新型「ステップワゴン」シリーズを発表した。正式な発表・発売は2022年春で、今回は「スパーダ」と「エアー」という2つのタイプがあることや、内外装デザインの公開に留まっており、スペック・仕様や価格などはまだ明らかにされていない。 そこで今回、国内外の新車事情に詳しいカーライフジャーナリストの渡辺 陽一郎氏が独自取材。新型ステップワゴンの詳細を前後編で明らかにする! 後編では、ミニバンで最も重要となる「内装」の使い勝手やシートの座り心地、そして「燃費」「安全機能」などをご紹介!
実車をチェックして分かった! 新型ステップワゴンは内装も見どころ十分だ
今回は新型ステップワゴンの内装から解説しよう。まず座席だが、1/2列目シートの背もたれを変更して、少し丸みを持たせた。さらに床と座面の間隔も、2列目で10mm、3列目では20mm増やしたから、着座位置が持ち上がった。
そのために2/3列目に座る乗員が、前方を見やすくなっている。
開発者は「子供は自分がスッポリと収まるような3列目シートを好むが、クルマ酔いを生じることも多い。そこでホンダはクルマ酔いの研究も行って、2/3列目からの見晴らし感覚が優れたボディとシートを開発した」という。実際に座ってみた! 新型ステップワゴンの掛け心地をチェック!
実際に新型ステップワゴンの各座席へ乗り込むことが出来た。1列目シートの座り心地は、当たりは柔らかいが、体重の加わる腰の近辺は硬めだ。そのため着座姿勢は安定している。
2列目は、新型ステップワゴン スパーダ系の場合、オットマンを装着したセパレートタイプのキャプテンシートにアップグレードした。
またシートスライド機構も、従来型ヴォクシー/ノア/エスクァイアのように、左右方向のスライドも可能となった。前後スライド量は610~865mm、左右スライド量は75~115mmとされ、3列目を床下に格納して2列目を後端まで寄せると、足元空間を大幅に拡大できる。
床下収納される3列目席は小ぶりだが、先代より座面の厚みを増し座り心地も改善された
1/2列目には快適に座れるが、3列目は従来型と同じく座面が短い。床下の限られたスペースに格納するため、1列目に比べると座面の長さが60~80mm下まわり、ユーザーによっては大腿部に違和感が生じる。それでも従来型に比べると、3列目は座面の厚みを20mm増した。座面が柔軟になり、底突き感も薄れている。また従来型の3列目では、深く座った時にシートの骨格が腰に当たったが、新型では解消されている。
身長170cmの大人6名が乗車した時、2/3列目に座る乗員の膝先には、それぞれ握りコブシ2つ分の余裕がある。
この広さは従来型と同じだが、前述のように着座位置を最適化して座り心地も改善したから、多人数乗車時の快適性は一層向上した。
パワートレインは現行型同様に1.5リッターターボと2リッターハイブリッドの2種類を用意
新型ステップワゴンに搭載されるパワーユニットは、1.5リッターガソリン直噴ターボエンジンと、ハイブリッドのe:HEV(2リッターガソリンエンジン+モーター)だ。駆動方式は、ターボには4WDの設定があり、e:HEVは前輪駆動(FF)の2WDのみとなる。新型では、e:HEVの動力性能や4WDの悪路走破力を向上させる模様だ。
新型ステップワゴンのカタログ燃費は不明だが、現行型の2WDでは、ターボが13.6km/L、e:HEVは20km/Lをマークしている(WLTCモード燃費)。
フルモデルチェンジとは言え、従来型を継承するパワートレインを搭載するため、大幅な向上は考えにくい。
しかし同様に先代からパワートレインを受け継ぐトヨタの新型ノア/ヴォクシー(間もなくフルモデルチェンジを実施する予定)は、販売店の情報によると2リッターノーマル(ノンターボ)エンジンが15~15.1km/L、ハイブリッドは23~23.4km/Lのカタログ燃費を記録するという(WLTCモード燃費)。新型ステップワゴンにとって、新型ヴォクシー&ノアは最大の強敵となるだけに、対抗上も燃費性能を向上させる可能性は高い。
先進運転支援機能もバージョンアップし安全性も向上
新型ステップワゴンの装備だが、安全面と運転支援機能が充実する。現行型も先進運転支援機能「ホンダセンシング」による衝突被害軽減ブレーキを採用したが、新型では渋滞時の操舵支援を綿密に行うトラフィックジャムアシスト機能が、新たに全グレードへ標準装着される。
またフルLEDヘッドランプ、後方誤発進抑制機能、近距離衝突軽減ブレーキ、両側スライドドアの電動機能なども、ベーシックグレードのエアーを含めてすべてのグレードに備わる。
そして新型ステップワゴン スパーダ系には、従来型には設定のない後方の並走車両を検知して知らせるブラインドスポットインフォメーション、リアゲートの電動開閉機能、オットマンを備えた2列目キャプテンシートなどが加わる。最上級のスパーダ プレミアムラインは、ハイビーム状態を保ちながら対向車などの眩惑を抑えるアダプティブドライビングビーム、17インチアルミホイールなどを標準装着する。
ライバルもフルモデルチェンジ! 2022年は「ミニバンの年」となりそうだ
なお2022年1月13日(金)には、トヨタから新型ノア/ヴォクシー(エスクァイアは廃止)の概要が明らかにされる。また最新情報によると、2022年9~10月には、日産 セレナもフルモデルチェンジを実施する模様だ。
これらのうち、少なくとも新型のステップワゴンとトヨタ 新型ノア/ヴォクシー(エスクァイアは廃止)では、大幅に進化する機能はない。
ヴォクシー&ノアは、アルファードの成功を見習って外観の存在感を強めたり車内を豪華指向でアレンジするが、基本的には安全装備や運転支援の進化など想定の範囲に収まる。
新型になっても変わり映えしない!? その背景にはメーカーの台所事情も
この変わり映えの乏しさは、ミニバンの商品特性に基づく。5ナンバー規格ギリギリで設計されるMクラスミニバンだが、エアロパーツ装着によりサイズを若干拡大した現行型ステップワゴン スパーダやヴォクシー(共に3ナンバー化)の好調な売れ行きもあって、新型ではボディを3ナンバーサイズに拡大する。しかし大幅なサイズアップは難しい。
またピラーやウィンドウを寝かせると存在感が乏しくなったり車内が狭まるので、ボディスタイルもあまり変えられない。
そして今後の少子高齢化を踏まえると、ミニバン需要の先行きも不透明で、プラットフォームの刷新などに多額の開発コストは費やせない。
その一方で、子育てを終えても、優れた利便性によってミニバンを乗り続けるユーザーは多い。今のところミニバンの需要は急落しておらず、廉価な軽自動車とコンパクトカーが売れ筋になった今、ミニバンは比較的粗利が多く、より収益を得られる貴重な商品でもある。
2022年はミニバン選びが充実の年となる!
このようにメーカーにとって「やめるにやめられない」のが今のミニバンに対する本音だ。そのために大筋では変わり映えが乏しく、細かな改良がフルモデルチェンジの柱になる。それでも、このような時こそデザインの妙味が映えるものだ。
2022年は「ミニバンの年」だから、ライバル車同士を比較して、デザインや機能が熟成された車種を購入したい。新型ステップワゴンの価格は不明だが、ミニバンの競争激化は必至だから、機能を向上させながら値上げを抑えて買い得感を強めるだろう。大いに期待したい。
[筆者:渡辺 陽一郎/撮影:島村 栄二・Honda]
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