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南スーダン:黄熱病とはしかが同時流行の危機 国境なき医師団が緊急の予防接種キャンペーンを要請

国境なき医師団 / 2024年4月8日 17時14分

ヤンビオにある入院病棟は、はしかの蔓延により危機的な状況に直面している。MSFは、はしか患者の治療のため隔離病棟を支援している=2024年2月18日 © MSF/Isaac Buay

南スーダンの西エクアトリア州では、黄熱病と同時にはしかが広まる危機が迫っている。2月以来、ヤンビオ郡とヌザラ郡の3つの医療施設で、5歳未満の子ども7人がはしかにより死亡、3月24日時点で患者数は460人に上っている。これらの地域では子どもたちの9割が予防接種を受けていない。

南スーダンでは、はしか患者はますます増加傾向にあり、ワクチン接種率も驚くほど低い。さらなる蔓延を防ぐため、国境なき医師団(MSF)は地元保健当局と世界保健機関(WHO)に対し、早急に予防接種キャンペーンを開始するよう呼び掛けている。

長引く流行とワクチン未接種の現状

「子どもが病気になったとき、高熱と下痢、咳の症状がありました。 自宅で解熱剤を飲ませましたが、よくなりませんでした。そこでMSFの施設に連れて行き、3日間治療を受けました。もし施設に来なかったら、子どもは死んでいたでしょう」

はしかに苦しむ1歳半のマーク・エマニュエルちゃんの母親、ビクトリア・ジョンさんは語る。

南スーダンでは、はしかの緊急事態が長く続いており、度重なる流行によって医療システムが脅かされ、地域社会は危険にさらされてきた。この事態に対応するため、MSFはガングラとサクレの2つの診療所、およびヤンビオ州立病院で、はしかの治療にあたっている。患者の急増に伴い、ベッド数を32床から40床に増やす予定だ。また、地域を回って、はしかの可能性がある子どもを探し、医療施設に紹介している。

MSFが支援する施設ではしかの治療を受けている子どもの20%は5歳以上だ。この5歳以上の子どもたちは、既存の拡大予防接種計画(EPI)の一環としては予防接種を受けなかった世代であり、彼らに対し、予防接種の促進を支援する必要性が浮き彫りとなっている。

流行を食い止めるのは予防接種と病気への理解

この地域では、2023年12月に黄熱病の流行が宣言された。黄熱病の流行は、これで6年間で4回目だ。そこにはしかが重なることにより、地域は二重の打撃を受けている。
ただし、黄熱病に関しては、保健省がWHOと協力して予防接種キャンペーンを開始し、西エクアトリア州に住む約35万7000人に予防接種を行った。3月中旬現在、黄熱病の患者は81人(確定例3人を含む)、死者が6人。このキャンペーンにより、疑い例と確定例が減少し、予防接種の有効性が証明された。
「大規模な予防接種キャンペーンは、西エクアトリア州でも南スーダン北西部でも、これ以上の流行を防ぐために不可欠です。南スーダンの脆弱な保健システムでは、再発するアウトブレイク*の負担に耐えられません」とMSFのザカリア・ムワティア代表は言う。

南スーダンにおけるワクチン接種率の低さは、住民、特に子どもたちに大きな影響を与えている。子どもは、はしかのような深刻な合併症や、死亡につながる可能性のある病気に非常にかかりやすい。MSFは、はしかと黄熱病がもたらす健康への脅威の重大性を考慮し、この病気に対する認識の向上と、蔓延を食い止めるための最善策の採用強化を呼びかけている。

保健省およびWHOを含むその他の保健機関は、国全体、特に疾病が最も発生しやすい地域に、予防接種の対象を拡大する努力を強化することが不可欠です。

*感染症が限られた範囲または集団で、予想よりも多く発生する状態

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