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時給7000円のデリヘル嬢は80万円の借金が返せない。 第6回 SNSの求人では性風俗と分からない、巧妙な勧誘手口

マイナビニュース / 2024年4月13日 7時0分

画像提供:マイナビニュース

私にお金を払った客はこう言う。「こんなこと早く辞めた方がいい」って。産婦人科の医者にはこう言われた。「あんた、バカ?」と。高額エステで借金を背負い、性風俗の道へ入った24歳の“つばき”。「フーゾクしかない」と思いこんだあの時の自分に伝えたいことは? 女性の性売買当事者によるコミックエッセイ『時給7000円のデリヘル嬢は80万円の借金が返せない。』(ころから)より、一部をご紹介します。

⇒これまでの話を読む

つばきは、SNSの求人を見た時点ではその店がデリヘルだとわからなかった。性風俗業界に入った女性の中には「割のいいバイトと聞いただけ」という流れで入る人も多い。山田がつばきにコンパニオンの実態を打ち明けて、話を聞きながら、つばきは「こうやって女性を勧誘するんだな」と思ったんだ。

今では、この求人はSNSのほかに、音楽を鳴らして街中を走っている「アドトラック(宣伝カー)」もあるよね。それで求人募集されているのは、ガールズバーなどの店員の体入(体験入店)。クセになるような宣伝音楽を子どもがマネして歌うほど、その入口の敷居は低くて多い。ガールズバーって聞くと、カウンター越しだし安全って思えるかもしれないけど、問い合わせると実際はキャバクラやセクシーキャバクラの方が圧倒的に多いんだ。

つばきは高校生の時も成人してからも、歓楽街の近くを通ってはそこを見て見ないふりをし、自分からは近づかなかった。今回つばきが見たコンパニオンのバイト募集はSNSで見つけたものだった。SNSという入り口に完全に油断してたんだ! 実際、「コンパニオン」とは、接客する女性のことで、世間では主に旅館などに出向いて接待をする女性をさす。つばきが想像した内容は正しいけど、デリヘル店の方言としても間違ってはいない。

前回のインターネット詐欺のときと今回のSNS、どちらもネット検索だね……。「お金稼ぎ」「高収入」「副収入」などの単語でネット検索すると、どんなものが出てくるかがこれでわかるよね。だから、近道を探そうとはせずに、興味のあることを収入に繋げて金銭問題を少しずつ解決していけばいい。ただ、使い込んだ分を取り戻すための努力や我慢もときには必要だよ。でも、両親や友だちに言えないような方向に自分を連れて行くことは解決にならないんだ。

――続きます。

⇒この連載の一覧はこちら

つばき 公立高校を卒業後に海外旅行し帰国後、団体職員を経て、リゾートホテルに勤務。職場のストレスが原因で借金が重なり、水商売と性風俗で働く。2016年末に『サバイバー 池袋の路上から生還した人身取引被害者』(マルセーラ・ロアイサ、ころから)に強く共感し自身の経験の執筆を決意。筆名は、韓国での性売買経験を手記にした『道一つ越えたら崖っぷち』(ポムナル、アジュマブックス)の著者名「春の日(ポムナル)」に対して、自身の心にはまだ春が来ておらず「心に冬が一生残り続けても、謙虚に咲き続けたい」ことから真冬に開花する椿(つ ばき)に決めた。 この著者の記事一覧はこちら

○『時給7000円のデリヘル嬢は80万円の借金が返せない。』(ころから)
著者:つばき イラスト:うなばらもも

24歳のつばきは、高額エステの支払いに苦しみ、ネットショップ詐欺に遭う。そうして80万円の借金を背負うが、徐々に返済が滞り、風俗の世界へ入るが――。著者のデリヘル嬢体験をもとにした漫画とエッセイで、風俗業界の実情を伝える、ありそうでなかった一冊。若い読者層を意識した造本でありながらも、産婦人科医の高橋幸子さんによる解説や、「困った時の相談先リスト」を収録するなどの工夫が凝らされている。Amazonで好評発売中です。
公式サイトhttp://korocolor.com/book/9784907239701.html
(つばき)

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