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カーエレクトロニクスの進化と未来 第163回 チップレットベースのクルマ用SoCの開発のための組織、ASRAの実態を探る

マイナビニュース / 2024年4月3日 7時13分

画像提供:マイナビニュース

新しいクルマ用SoCを開発するためのコンソーシアム「ASARA(Advanced SoC Research for Automotive)自動車用先端SoC技術研究組合」の中身が少しずつ明らかになってきた。

3月29日に開催した説明会において、基本的には、チップレットを中核に据え、自動車メーカーが持つ電子システムのプラットフォームにするための集積回路となると説明した。なぜそれが可能になるのか。競争と協調の線引きはどうなるのか?。

ASAR理事長でトヨタ自動車のシニアフェローでもある山本圭司氏(図1)は、「半導体がクルマの性能を決める時代に入ってきた。自動車向けの半導体やコンピュータ、電子システム、ソフトウエアなどこれまではそれぞれが開発してきたものをOEM(自動車メーカー)がまとめる形だったが、それを、1チームとして最適なものをそれぞれに提示して作っていく方向にしたい」と述べている。

クルマの電子システムでは、これまでのようなOEM、ティア1、ティア2というような垂直統合の仕組みがもはや崩れている。OEMは、ティア2の半導体メーカー、さらにはティア3のファウンドリと直接話をしなければならなくなってきたからだ。従来の垂直システムだと、OEMとなる自動車メーカーは、ファウンドリとは遠くなりすぎて、中核情報が遅れてしまうきらいがあった。だから、みんなが1チームとなってクルマの開発を進めていかなければならなくなったのである。

電子システムの鍵を握るのはもちろん半導体であり、もはやかつてのような単なる一部品ではなくなった。自動車の頭脳というべき中枢部を司る重要なテクノロジーとなった。自動車メーカーはもはや半導体なしで、次世代のクルマを語ることはできなくなった。そこで自動車各社とも使える技術としてチップレットをはじめとする先端パッケージング技術に目を付けた。

先端パッケージング技術ではチップレットやチップを共通のサブストレート上に置き、SiP(System in Package)としてICを構成する。ある自動車メーカーでは、例えばハイエンド向けのチップを4分割してSoCチップレットとし、ローエンドには1個のチップレット、ミッドレンジには2個のチップレットを使うことで(図2)、車種ごとにSoCを設計し直す必要をなくすことができる。このため開発期間を短縮できる。またメモリもそのパッケージ内に収めておけばSoC(その中のCPU)との距離が短くできるためシステム性能が高まり、消費電力が下がる。

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