スペースXの巨大宇宙船「スターシップ」が飛行試験、火星に向けさらに前進
マイナビニュース / 2024年4月4日 6時53分
●「スターシップ」の目的と、3度目の飛行試験「IFT-3」における改良点と目的
米宇宙企業スペースXは2024年3月14日、開発中の巨大宇宙船「スターシップ」の3度目の飛行試験を実施した。
今回も宇宙からの帰還までは果たせなかったものの、初めて地球を回る軌道の一歩手前まで到達し、さらに宇宙空間でいくつかの技術実証にも挑んだ。
まだ課題は多いものの、同社が目指す月、そして火星への飛行に向け、また一歩前進した。そして早くも、次の飛行試験の準備が進んでいる。
スターシップとこれまでの飛行試験
スターシップ(Starship)はスペースXが開発中の宇宙輸送システムで、人間や物資などを、地球周回軌道や月、火星、さらにその先へ運ぶことを目指している。
全長121m、直径は9mで、打ち上げ時の質量5000tという巨体を特徴とする。また、機体すべてを飛行後に着陸して回収し、再使用することができ、飛行機のように運用することで、劇的な打ち上げコストの低減と打ち上げ頻度の向上を目指している。
打ち上げ能力は、機体すべてを回収する場合には地球低軌道に150t、使い捨てる場合には250tを誇り、人類史上最も強力なロケットとなる。その性能を活かし、人間や衛星、探査機、貨物などを地球周回軌道、月、火星、さらにその先へ運ぶことができるほか、地球上のどこへでも1時間以内に移動できる極超音速旅客機としても使用できる。
スペースXでは、現行の「ファルコン9」に代わる次世代の主力ロケットとして活用することを目指しているほか、米国航空宇宙局(NASA)が主導する国際有人月探査計画「アルテミス」で、宇宙飛行士が月に着陸する際に乗る月着陸船としても使用され、2026年に予定されている「アルテミスIII」と2029年の「アルテミスIV」で使用されることが決まっている。
スターシップは、第1段の「スーパー・ヘヴィ(Super Heavy)」ブースターと、第2段の「スターシップ」宇宙船の、大きく2つの機体から構成されている。スターシップ宇宙船にはいくつかの構成があり、大きな衛星を積んだり、小さな衛星を大量に積んだり、100人の乗客を乗せたりでき、さらに宇宙空間で別のスターシップ宇宙船に推進剤を補給するためのタンカー仕様もある。
スーパー・ヘヴィ、スターシップ宇宙船はともに、「ラプター」というロケットエンジンで飛ぶ。ラプターは、通常よりもさらに低温にした液化メタンと液体酸素を推進剤として使うエンジンで、スーパー・ヘヴィには33基、スターシップ宇宙船にも6基を装備する。
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