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GX経営に向けて 第4回 カーボンニュートラルに向け、CO2分離回収技術の注目ベンチャーが登壇 - GXリーグレポート

マイナビニュース / 2024年4月25日 8時30分

続いて山田氏は、大気中のCO2を回収・吸収し、貯留・固定化するネガティブ・エミッション技術を用いたCDRについても解説。IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change) AR6(Sixth Assessment Report)のシナリオによると、日本の将来的な残余排出量(最終的に避けられないCO2排出量)は年間約0.5〜2.4億トンと推定されており、残余排出を相殺する手段として2050年に年間数億トンのCDRが必要だという。

この残余排出については主に産業や運輸が中心であり、これらは電化が難しいという事情がある。日本がカーボンニュートラルを達成するためには、CDRの産業化が必要であり、そのため、ネガティブ・エミッション分野におけるスタートアップ創出の重要性が増しているというわけだ。

海外ではすでに政府による支援が行われはじめており、日本も産業化に向けて必要な国内ルール検討体制の構築などを進めている。具体的には「ネガティブエミッション市場創出に向けた検討会」の下にDACワーキンググループを立ち上げて専門的な議論を開始するなど、諸外国の動向も踏まえた動きを見せているという。
○革新的CO2吸着材でDACの低コスト化を実現

ここからは、GXに取り組むスタートアップによるプレゼンテーションが行われた。

まず登壇したのはPlanet SaversのCEO池上京氏だ。

同社が注力するDACとは、大気からCO2を直接回収する技術のことである。

仕組みとしては大型のファンが大気中の空気を回収し、そこから様々な方法でCO2のみを吸収する。その後、回収したCO2を分類、濃縮してカーボンリサイクルにつなげるという流れだ。2050年のカーボンニュートラルを実現するには、このDACの実施が不可欠だと池上氏は言う。

また、2021年には4,500億円だったDAC市場は、2030年には1兆円、2050年には70兆円規模まで拡大すると予想。ビジネス的にも大きな可能性を秘めているという。

もっとも、DACの大きな課題がコストだ。大気中のCO2は低濃度であり、回収が難しいことから高コストになってしまうのだ。そこで池上氏が提案するのが、CO2吸着材「ゼオライト」を用いた革新的なDACシステムである。

池上氏によると、同社が開発するゼオライトの中には従来の10倍以上のCO2吸着能力を持つものもあり、さらに他の吸着剤と比較した場合には高耐久かつ低コストというメリットがあるとのこと。同社はさらに吸着装置も開発しており、モジュール型で大型建設不要のうえ、積層にすることで大型化も可能だという。ゼオライトとモジュール型のDAC装置の組み合わせにより、CO2回収コストを大幅に低減できると池上氏は胸を張る。

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