名大などの宇宙X線望遠鏡が宇宙へ、太陽フレアの発生確認後に打ち上げ予定
マイナビニュース / 2024年4月12日 6時43分
名古屋大学(名大)は4月10日、日米共同太陽フレア観測ロケット実験「Focusing Optics X-ray Solar Imager 4号機」(FOXSI-4)に搭載の高解像度宇宙X線望遠鏡の製作を完了したことを発表した。
すでに打ち上げ用観測ロケットに搭載されており、4月5日から2週間の間、毎朝5時間かけて太陽表面に観測に適したフレアが発生していないかを観測した後に、フレアを発見できた場合は米アラスカ州ポーカーフラットリサーチレンジからロケットを打ち上げる態勢にあるという。
同成果は、名大大学院 理学研究科の三石郁之講師、同・作田皓基大学院生、同・安福千貴大学院生、同・藤井隆登大学院生、同・吉田有佑大学院生、東京大学(東大) 先端科学技術研究センターの三村秀和教授、名大 全学技術センターの叶哲生技師、同・石田直樹技師、同・加藤渉技師、同・大西崇文技師らを中心に、夏目光学、ブルーリッジ、大堀研磨工業所、国立天文台、東レ、蒲郡製作所、IMV、JASRI(SPring-8)も参加・協力した産学共同研究チームによるもの。
太陽系最大の爆発現象であるフレアは、太陽表面の活発な黒点群周辺領域で突発的に発生し、強いX線などの電磁波、非常に高いエネルギーの陽子の粒子などに加え、超高温ガスが周囲の惑星間空間に放出される場合もある。それらが地球圏を直撃すれば、大規模な停電や人工衛星の故障などが発生する危険性があるため、フレアの発生メカニズムの解明が強く望まれている。
また近年は、系外惑星における地球外生命探索などの観点からもフレアが注目されており、中でも赤色矮星はフレアの発生頻度も多く、その周辺に存在する惑星環境への影響に注目が集まっている。
FOXSI-4は、フレアの詳細を調べるため、「X線集光撮像分光観測」という新手法で挑む。同観測手法は、望遠鏡と検出器を組み合わせて集光画像を撮像し、光をエネルギーごとに分光する作業を同時に行うもので、太陽は非常に明るいために観測装置への要求が厳しく、これまでは実現が困難とされてきた手法である。
そして今回の実験では、観測に適しているフレアが発生したと判断された後にロケットを打ち上げるという、シリーズ初となる、リアルタイムでフレアの観測が目指されている。これにより、これまでは難しかった大規模なフレアも観測できる可能性があり、かつてない精度での時間・空間・エネルギーなどの情報の同時取得が期待されている。
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