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東工大など、中温で高いイオン伝導度と安定性を示す新たな酸化物を発見

マイナビニュース / 2024年4月23日 6時24分

そのオキシハライド1のO2-伝導度の高い理由が調べられると、三重蛍石類似層とCl層が交互に積層した結晶構造を有しており、25~700℃でオキシハライド1は正方のSillén相であることがわかったとのこと。格子間O2席を持つ三重蛍石類似層は、準格子間機構によるイオンの拡散が可能であり、オキシハライド1の高いO2-伝導度にとって重要とした。

オキシハライド1のO2-拡散経路の可視化が行われたところ、O2-は400℃で三重蛍石類似層中を二次元的に拡散することが示された。この解析により可視化された-O1-O2-の拡散経路は、オキシハライド1のO2-が準格子間機構により拡散する直接的な実験的証拠だといえるとする。

また、オキシハライド1は高い化学的安定性も示した。たとえば二酸化炭素の中で400℃、あるいは大気中で600℃、400℃で100時間のアニールを実施しても、分解や劣化はまったく起こらなかったとした。この高い化学的安定性は、高い化学的・電気的安定性と高いO2-伝導度と共に、オキシハライド1が優れたO2-伝導体であることも示されているとする。

続いて、第一原理分子動力学シミュレーションによりO2-の拡散と局所的なダイナミクスが調べられた。その結果、O2席の格子間O2-OBは最近接の格子O1席に存在する別のO2-OAを、隣接する空の格子間O2席に向かって押し出すことが判明。これは、OAとOBの2個のO2-が協調的に移動する、準格子間機構による拡散を明確に示しているとした。

最後に、三重蛍石類似層を持つさまざまな新規オキシハライドが合成され、乾燥窒素中で電気伝導度が測定された。すると、いずれも高い電気伝導度が示されたという。このことは、一連の三重蛍石類似層を持つさまざまなオキシハライドが高O2-伝導体であることを示唆しているとした。

研究チームでは今後、創製・発見した新しいオキシハライドについて元素置換を行い、O2-伝導度と安定性をさらに向上させることを検討中だという。また、オキシハライドを利用したSOFCsを実用化するためには、燃料電池の作製と評価を行う必要がある。そのためには、オキシハライドに適した電極材料の開発を行うことが重要とした。
(波留久泉)



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