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大河原克行のNewsInsight 第298回 白物家電は「建て直し必須」…パナソニックの危機感、市場激変で構造改革まったなし

マイナビニュース / 2024年6月14日 11時33分

一方、堂埜社長は、指定価格制度による新販売スキームの導入や、コストダウンによる外部環境悪化の打ち返し、実需に連動したSCMプロセスを導入により、営業キャッシフローが良化。体質改善が進んだことをプラス要素にあげる。

新販売スキームでは、2023年度実績で販売金額構成比が38%にまで拡大。ナノケアヘアドライヤーなどのビューティー商品やオーブンレンジでは新販売スキームによる実販が45%以上となり、冷蔵庫、掃除機、洗濯機では30~45%、炊飯器では30%以下となっている。

ナノケアヘアドライヤーでは、新販売スキームの対象製品では、発売から約1年半に渡って価格が下落することなく推移。それに対して、対象外のドライヤーは約40%も実売価格が下落したという。限界利益率が10数%高まり、在庫処分費用も削減。2年間の利益効果は100億円規模に達したという。

だが、堂埜社長は、「この政策は、他社に負けない商品力が前提となって、効果が発揮されるものであり、カテゴリーによっては効果が出なかったものもある」とし、「ナノケアドライヤーは、約5万円という価格であっても価格が下がらないのは、パナソニックの商品がオンリーワンであるためだ。しかし、電子レンジは、約13万円の価格設定で多機能な商品を用意したが、需要につながらず、価格を下げざるを得ないという失敗例もあった。掃除機や炊飯器もシェアが3位以下になっており、その価格と機能では『愛された商品』にはなっていないことが示された。これを立て直す必要がある。愛されるオンリーワンの商品を作っていくことが大切である」とした。

また、パナソニックの品田正弘CEOも、「新販売スキームを導入してから3年を経過した。2022年度までは賛否があったが、2023年度はほぼすべての流通、チャネルにおいて、理解が得られ、高い評価を得ている。販売店の粗利が増え、在庫負担がなくなりキャッシュフローの改善にも貢献できている。スキームに対する腹落ちが得られてきた」と振り返りながら、「商品レンジの拡大を求める声も多く、全カテゴリーに展開してほしいという要望もある。だが、新販売スキームは、商品ライフサイクルを伸ばし、高付加価値商品に対して展開していくものである。販売金額に占める割合の上限は50%とみており、利益に占める割合は6~7割になる」とした。

さらに、「商品力がないモデルは淘汰される。新販売スキームに見合う商品力強化をすべてのカテゴリーで進めることが重要である」と述べた。

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