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大河原克行のNewsInsight 第298回 白物家電は「建て直し必須」…パナソニックの危機感、市場激変で構造改革まったなし

マイナビニュース / 2024年6月14日 11時33分

堂埜社長も、以前は、日本で白物家電を担当していたが、「白物家電は、パナソニックグループ全体の調整後営業利益の約20%を占めており、そこまでやらなくても儲かるという慢心があり、『健全ではない満足感』があった。中国では日本のようにシェアが高くなく、中国勢はデジタルを使ったモノづくりをしてくる。生き残るにはすべてのやり方を変えなくてはならないという『健全な危機感』を持っている。3年ぶりに日本に戻ってきて感じたのは、『健全な危機感』がないという点である。危機感を持ったトップとして、現場を回り、納得、説得をしながら、愚直に取り組んでいく」との姿勢を示した。

堂埜社長によると、中国メーカーは、70点でもスピードをあげて前に進まないと踏みつぶされるという危機感があり、リスクを全体で取るという文化を持っているが、日本では設計、開発、生産、販売のそれぞれのステージゲートで100点を取り、それに達するまで膨大な時間を使って、次にバケツを渡すという方法であることを指摘。「開発、製造、販売の人たちがスモールチームを作り、権限を持って、一気通貫でモノづくりを行うME(マイクロエンタープライズ)の組織や、アメーバ型の組織が必要である。そこにグローバル標準コストを武器として組み合わせる。いまは超属人的に取り組んでいるが、組織が自走する形にしながら、中国式のやり方を取り入れていく」と述べた。

すでに、グローバル標準コストを導入した商品開発を日本でスタートしており、5ドア冷蔵庫では、強みとなる機能に特化した引き算の商品企画と、自社基準の改定やグローバル標準部材の採用により、冷却システム仕様の見直しや多重安全設計の最適化を実現。部品調達においては、グローバル最安サプライヤーの横展開により、2024年度発売商品は原価を20%削減できると試算している。また、オーブンレンジでは、設計仕様を見直し、冷却やヒーターなどの主要部品の共用化および部品点数の削減を実施。電子部品や鋼材の調達においても、グローバルソーシングを活用することで、同様に20%の原価低減ができるという。

2024年度は、グローバル標準コストで129億円のコスト削減効果を見込んでいる。

「2024年度は代表的な商品から取り組むが、設計段階から取り入れる必要があるため、下期に出てくる商品が対象になる。そのため刈り取り効果はまだ少ない。2027年度までに、この概念を設計、調達に取り入れ、これができない商品はディスコンし、SKUの削減にもつなげる」とし、「グローバル標準コストの大胆な導入により、戦え抜ける基礎体力をつける。まずは中国勢との価格競争から逃げない体質にすることを最優先に取り組む」と宣言した。

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