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大河原克行のNewsInsight 第303回 「テレビ撤退」という誤解、シャープのテレビ事業戦略を改めて追う

マイナビニュース / 2024年6月30日 16時47分

シャープは、2022年度に2608億円の最終赤字を計上。2023年度も1499億円の最終赤字となり、2年連続での大幅赤字に陥っている。最大の要因は、SDPを中心としたディスプレイデバイスの不振である。

SDPの大型液晶パネル生産停止や、中小型パネルの生産縮小は、「デバイス事業のアセットライト化」という方針のもとに実行されるものであり、今後、赤字体質にあるデバイス事業を縮小していくことになる。

その一方で、成長戦略に位置づけているのがブランド事業への集中だ。「信頼の日本ブランド『SHARP』を確立する」とし、6月27日にシャープの社長に就任した沖津雅浩氏は、「今後は、ブランド事業に投資を集中させ、人に真似されるようなオンリーワン技術を持った製品を作り上げていく」との姿勢をみせる。

同社の説明によると、ブランド事業では、白物家電、複写機(ビジネスソリューション)、携帯電話(通信)、PC、太陽光発電(エネルギーソリューション)とともに、TVシステムを、積極投資の対象とし、成長モデルの構築に取り組むことになる。

シャープ TVシステム事業本部の岡本寛文本部長は、「TVシステムは、独自の特長商品による日本市場における収益力強化を進めるほか、他社との連携による海外事業の拡大を図ることになる」と語る。

つまり、シャープの中期経営方針では、大型液晶パネルの生産は撤退し、中小型液晶パネルは縮小するが、AQUOSシリーズによるテレビは、成長モデルの構築に取り組み、事業を継続し、投資を積極化することになる。
パネルは外部調達を組み合わせて最適化を図る

シャープは、6月15日から、テレビの新製品を順次発売しており、今後もテレビの進化に挑む考えだ。

液晶パネルは、大きな1枚のマザーガラスを使って生産する。生産設備によって、生産可能なマザーガラスのサイズが異なり、第10世代と呼ばれるSDPの生産施設では、3130mm×2880mmのマザーガラスを使用する。これは畳で約5畳分という大きさになる。

ここから必要なサイズに切り出して、テレビなどに使用するため、大きなマザーガラスを使用するほど、大画面化に適していたり、効率性があがり、コスト競争力で優位に立てるメリットが生まれたりする。

ただ、どの世代のマザーガラスを使用しても、最も効率よく切り出せるサイズというものが存在する。もちろん、パネルは任意のサイズで切り出すことができるが、無駄な部分が増えれば、それはコストの増加につながる。

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