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大河原克行のNewsInsight 第307回 シャープ再建を託された沖津雅浩社長、「必達を誓う」黒字化と成長の方策

マイナビニュース / 2024年7月17日 19時12分

また、「中期的には生成AIを活用し、お客様に寄り添った商品を作っていく。カーボンニュートラルに関する補助金制度の実施にあわせて最適な商品を出し、売り上げ拡大のチャンスにつなげたい。電池、ソーラーでもトータルでナンバーワンになれるようにしたい。省エネに貢献できる商品およびソリューションづくりを徹底したい」との方針を示した。

さらに、白物家電事業の考え方について沖津社長は、「ボッシュやミーレ、エレクトロラックスといった欧州の大手家電メーカーのようになりたい」とコメント。「付加価値のある商品を創出し、自分たちが勝てる領域において、お客様にブランド価値が浸透している。韓国メーカーや中国メーカーとは異なる戦略である。シャープも欧州家電メーカーと同じ方向を向いて事業をしていくべきだと考えている。白物家電といえば、日本のメーカーがトップ3に残るという状況にしたい」と述べた。

MFPなどに取り組んでいるスマートオフィスでは、欧米市場において、ITに強い会社をM&Aによって獲得し、MFP市場全体の落ち込みをカバーしながら事業を拡大する姿勢を明らかにした。また、生成AIの活用により、サービス型ソリューションを強化。鴻海が生産しているAIサーバーの販売やメンテナンス、サービスを事業化する方向での検討も開始したという。物流分野におけるロボティクス事業も拡大させる考えだ。

「これまでにも買収したい企業があったが、デバイス事業に投資をしていたために買収ができなかった。デバイス事業のアセットライト化によって、諦めていた買収も進めることができるようになる」とした。

テレビやスマホなどのユニバーサルネットワークでは、「テレビやスマホは、市場が縮小傾向にある。とくに、スマホは95%を国内事業が占めており、円安の逆風もある。効率的な開発を行い、横ばいか若干の成長でも赤字を避け、生まれた人材リソースを新たな事業に振り分けていく。新規事業での成長を期待しており、衛星用アンテナ、ARやVRなどに技術者をシフトして、開発をはじめているところである」という。

また、沖津社長は、「ブランド事業では1億円の投資は大規模だが、デバイス事業は工場を少し直しただけで1億円かかってしまう。デバイスの構造改革を行い、投資を抑えれば、ブランド事業への投資が拡大できる。今後は、ブランド事業に投資を振り分けることができる」とし、「鴻海傘下になってから、節流という考え方が浸透し、新規開発には投資をしてこなかった。この戦略を変更し、研究開発部門は、目先のことではなく、先のことを考えて開発するという従来のシャープの仕組みに戻した。シャープらしい開発体制になっている」と述べた。

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