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謎のままだった「dynabook X CHANGER」のキーボード、チューニング結果はどうなった

マイナビニュース / 2024年8月2日 6時0分

「キーの1つ1つの下には“ラバードーム”があります。キーが押されるとラバードームが形状を維持しようと耐えますが、一定の圧力を受けると潰れます。その瞬間にクリック感が生まれるわけです。ラバードームが潰れるまでの力と、その後の反発力が指にクリック感を与えます。このようなキーボードでは、メカニカルキーボードのような明確なクリック感をラバードームで再現するために諸々の調整を行っています」(中村氏)

ラバードームがつぶれてキーが押された後、ラバードームの下にあるシート状のメンブレンスイッチが接触してキー入力が認識されるまでに必要な力(これにはキーを押す力と共に、キーから押し返される力や、押し切った後にキーユニット基板の剛性から受ける反作用の力の合成で形成される)の時系列変化で形成されるフィーリングも、ラバードーム形状によって調整している。

また、ラバードームが潰れるまでと、潰れ終わって押し込むまでの力の違いは直線ではない。押すときと戻るときの力が異なり、これによってクリック感を表現している。ラバードームが潰れるときの力は材料の厚さによっても変化する。薄い材料では容易に潰れるが厚いものではより多くの力が必要になる。この差もラバードームの厚さで調整する。

なお、キーボードは端のキーから通常サイズのキー、小さなキーなど多くのキーで構成されている。これらが同じヒステリシス(=キートップを押し下げたときにスイッチが入る位置と切れる位置の差)と作動圧曲線(縦軸にキーを押す力、横軸にキーストロークを置いたグラフに描かれる曲線)を描くように、ファンクションキーや矢印キーのような小さなキーでは、通常サイズのキーと比べてラバードームの形状や厚さを変更して、適切なフィーリングを実現している。

以上のような理由から、ラバードームの形状は、厚さも含めて大きく分類するとそれぞれのキートップの形状に応じて変更した3種類を用意している。

ただし、キーの位置によってラバードームを特別に硬くしたり薄くしたりすることはしていない。「一部のメーカーでは小指の負担を軽減するために特別な調整を行っていますが、dynabook X CHANGERではそこまでの調整は必要ありませんでした」(中村氏)

○打鍵の伝承者、キーボードマスターの存在

とはいえ、中村氏は「この部分のチューニングには多くの時間が費やされました。そのために必要なラバードームの調整には、何度もの試行錯誤が必要でした」と語っている。

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