1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. パソコン

謎のままだった「dynabook X CHANGER」のキーボード、チューニング結果はどうなった

マイナビニュース / 2024年8月2日 6時0分

キーボードのタイプフィーリングにおいては、開発最初に設定した要求仕様に基づき、その“理想”に近づけるようにチューニングを詰めていく作業を繰り返していく。タイプフィーリングは“感覚”であるので、“主観的”な指標をどのように評価してチューニングしているのだろうか。

この疑問に対して中村氏は「社内のキーボード愛好家から実際にフィードバックを得ています」と説明する。「例えば、2mmストロークのキーボードの試作品を評価者に送ったところ、フカフカしているとの評価を受けました。このようなフィードバックから、フィーリングを数値化して要求仕様に沿った調整を行っています」(中村氏)

いま述べたように、タイプフィーリングに大きく影響するのは、作動圧曲線とキースイッチのオンオフそれぞれのストローク距離(そしてその距離の差異=ヒステリシス)が描く曲線だが、開発当初の要求仕様に基づいて設定していた「理想の曲線」はどのようにして定めたのか。

中村氏は「私たちは35年間キーボードを作ってきましたので、ヒステリシスと作動圧曲線には長い歴史があります」と述べる。その上で、dynabook X CHENGERの2mmキーストロークにおいては「新しいモデルを開発するにあたって、どのようにして理想のフィーリングを実現するか、単に数値を上げるだけではダメだという議論がありました」と明かす。

Dynabook社、というか、東芝時代から見てもdynabook(注:DynaBookにあらず)として2mmのキーストロークは初めてという。キーストロークの変化としては2010年に1.5mmを採用してから変わっていない。新しいキーボードの開発は実に十数年ぶりとなるわけだが、「“理想の曲線”に関する知識は残っています」と新規キーボード開発のノウハウは継承されていた。

「キーボードマスターもいますので、その知識は生かされています」(中村氏)

おお、キーボードマスター!!! キーボードマスターという人材はどのように育成され、そして継承されているのだろうか?

キーボードマスターはDynabook社内でも限られており、現在ではメカニカル設計チームの数人がキーボードマスターとして長年にわたりキーボード開発に携わっている。もちろん、彼らはDynabook社の“社員”であるから「彼らも徐々に昇進していきます。部長職もいます」(中村氏)のだが、昇進してキーボード開発から離れてしまうというわけではなく、「彼らはエンジニアですから、部長であっても実際に作業を行うことがあります」(中村氏)ということで、キーボードのタイプフィーリングに関するノウハウは今も脈々と受け継がれている。
○2mmに期待する“新旧”ユーザーのずれ

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください