ボーイングの新型宇宙船「スターライナー」、帰還が大幅遅れ - いったいなぜ?
マイナビニュース / 2024年8月10日 7時32分
●初の有人飛行試験に飛び立った、スターライナーを襲った数々の問題
今年6月に国際宇宙ステーション(ISS)へ向けて飛び立った、ボーイングの新型宇宙船「スターライナー」の、地球への帰還が大幅に遅れている。
打ち上げ直後から問題が相次ぎ、当初の8日間という予定を大幅に超えてISSに滞在し続けており、帰還日の見通しも立っていない。いったいなにが起きたのか。そして、無事に地球に帰還することはできるのだろうか。
スターライナー初の有人飛行試験ミッション「CFT-1」
スターライナーは、ボーイングが開発している有人宇宙船で、ISSや、将来建造が予定されている民間の宇宙ステーションなどに、人員を運ぶことを目指している。
開発は2010年に始まり、米国航空宇宙局(NASA)による、民間企業に商業宇宙船を開発させることを目的とした「CCDev」プログラムの下で進められてきた。同様の形で、イーロン・マスク氏率いる宇宙企業スペースXは「クルー・ドラゴン」宇宙船を開発した。
スターライナーは当初、2017年の初飛行を予定していた。しかし、開発時に問題が見つかったり、試験に失敗したりし、大きく遅れた。
2019年12月になり、ようやく初の無人飛行試験「OFT-1」に臨んだものの、問題が相次いで発生し、ミッションを中断して地球に緊急帰還する事態となった。改修を経て、2022年5月には2回目の無人飛行試験「OFT-2」を行い、細かな問題は起きたものの、ISSへのドッキングなどの予定していたミッションをこなし、おおむね満足できる成果を収めた。
続いて、初の有人での飛行試験ミッション「CFT-1」に向け準備が進められるも、またもや問題が相次ぎ、打ち上げ延期を重ねた。
そして2024年6月5日、スターライナーCFT-1はようやく宇宙へ打ち上げられた。
宇宙船には、NASAのバリー・ウィルモア宇宙飛行士(コマンダー)と、サニータ・ウィリアムズ宇宙飛行士(パイロット)の2人が搭乗し、ISSへのドッキングも含め、計8日間のミッションとなるはずだった。
しかし、打ち上げ直後に、スターライナーの推進システムでヘリウム漏れが発生した。ヘリウム漏れは打ち上げ前にも起き、問題ないとして打ち上げられたものの、さらに別の箇所から漏れ出した。
NASAとボーイングは、調査した結果、大きな影響はないとしてミッションを続行した。ところが、ISSへのドッキング直前には、宇宙船にある28基の姿勢制御用スラスターのうち5基が使用不能になる事態が発生した。
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