ボーイングの新型宇宙船「スターライナー」、帰還が大幅遅れ - いったいなぜ?
マイナビニュース / 2024年8月10日 7時32分
クルー・モジュールは地球に帰還する一方で、サービス・モジュールは大気圏への再突入前に分離し、そのまま燃え尽きる。つまり、問題が起きているヘリウムのシステムとスラスターも塵と化してしまう。そのため、いま起きている問題の原因調査を続けたいのなら、帰還を延期させるしかないのである。
7月末の時点で、ヘリウム漏れの問題については、地上で、燃料を充填した状態で3年間保管されていたサービス・モジュールを検査したところ、ヘリウム・システムのシールが劣化している兆候が見られたという。酸化剤の四酸化二窒素と触れたことが理由と考えられており、同じことがスターライナーCFT-1の機体にも起こり、ヘリウムが漏れた可能性が高いとしている。
一方、スラスターの問題については、太陽からの加熱が引き金になった可能性が高いとされている。スターライナーの太陽電池は、サービス・モジュールの後部に貼ってあるため、軌道上では太陽にお尻を向けるような姿勢で飛行する時間が長い。そのため、その部分が過熱状態になり、スラスターに問題が起きたというシナリオである。もちろん、断熱材を貼るなどして対策は取られていたものの、たとえば太陽の熱に加え、スラスターの噴射によるそれ自身の過熱、断熱材によってスラスターが入っているポッド全体が魔法瓶のような状態になってしまうなど、複合的な要因によって、想定よりも過熱した可能性があるという
こうした中で、7月27日には、ふたたびISSにドッキング中のスターライナーのスラスターを噴射する試験が行われた。28基のスラスターのうち27基が短時間噴射され、スラスターの性能やヘリウムの漏れ率が確認された。予備的なレビューでは、噴射したスラスターはすべて、推力とチャンバー圧力が飛行前と同じ、正常なレベルに戻っていることが示されたという。
NASAとボーイングは、この試験で得られたデータと、地上で行った試験のデータを確認し、レビューを行い、帰還の目標日を決定するとしている。
●別の宇宙船で帰還する可能性も…… 考えられる今後のシナリオと影響
スターライナーを放棄して帰還の可能性
こうした一連の出来事から、メディアではミッションの継続に悲観的な見方も流れた。ミッションを中断し、ウィルモア、ウィリアムズ両宇宙飛行士は別の宇宙船で帰還させ、スターライナーは無人で帰還させるしかないのでは、とも取り沙汰された。
これについて、NASAとボーイングは長らく、否定的な発言を繰り返してきた。
この記事に関連するニュース
-
1週間予定でISS滞在の飛行士2人、スターライナー不具合で帰還できず…別の宇宙船使用を検討
読売新聞 / 2024年8月8日 11時1分
-
スターライナー“帰還不能”問題 NASA、別の宇宙船で飛行士2人の帰還を検討
日テレNEWS NNN / 2024年8月8日 9時1分
-
スペースXで帰還の可能性=ボーイング宇宙船不具合で
時事通信 / 2024年8月8日 7時12分
-
NASAがクルードラゴン次回打ち上げ延期 スターライナー帰還対応で
ロイター / 2024年8月7日 9時59分
-
クルードラゴンとスターライナー ISSで撮影された2つの有人宇宙船
sorae.jp / 2024年7月18日 21時10分
ランキング
-
1【ごろ寝界隈向け】エレコム、人気のハンディトラックボール「Amazonに大量入庫いたしました」
ASCII.jp / 2024年8月9日 13時30分
-
2ゲオで中古iPhoneが1円+5000円還元のキャンペーン UQ mobileにMNPで
ITmedia Mobile / 2024年8月9日 13時11分
-
3アップルが容量2TBのiPhoneを開発する可能性
ASCII.jp / 2024年8月9日 20時0分
-
4終わりを迎えた「キャンプブーム」 “あとしまつ”の道は災害対策か
ITmedia NEWS / 2024年8月9日 15時24分
-
5とらのあな、通信販売でのVisa/Mastercard決済を停止に 13日以降は利用できず コミケ前に突如発表
ITmedia NEWS / 2024年8月9日 21時20分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)