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ボーイングの新型宇宙船「スターライナー」、帰還が大幅遅れ - いったいなぜ?

マイナビニュース / 2024年8月10日 7時32分

曰く、「選択肢としてはあるものの、現時点ではスターライナーで問題なく帰還させられると確認している」、「宇宙飛行士は宇宙に取り残されているわけではない」と、時には強い言葉で主張してきた。同時に、万が一ISSで非常事態が起きたときには、即座に宇宙飛行士をスターライナーに乗せて脱出させることも可能だとした。

ところが8月8日になり、NASAとボーイングは一転して、ウィルモア、ウィリアムズ両宇宙飛行士を別の宇宙船で帰還させる検討を行っていることを認めた。あくまでスターライナーによる帰還ができなくなったわけではないとしたうえで、9月に打ち上げ予定のクルー・ドラゴン宇宙船運用9号機(Crew-9)の乗組員を4人から2人に減らし、来年2月にウィルモア、ウィリアムズ両宇宙飛行士を乗せて帰還させる可能性があるという。

これに先立ち、NASAは8月6日、クルー・ドラゴンCrew-9の打ち上げを、それまで予定されていた8月18日から、9月24日以降へ延期すると発表していた。理由として、「ISSの運用の柔軟性を確保するため」、「スターライナーの最終的な帰還計画を検討する時間を確保するため」と説明されていたが、それがこの非常事態プランの検討のことだったのである。

ただ、この計画の実施には、いくつかの障壁がある。

クルー・ドラゴンに搭乗するためには専用の船内服が必要であり、また、スターライナーの船内服とは互換性がない。そのため、地上でウィルモア、ウィリアムズ両宇宙飛行士のため船内服をあつらえたうえで、ISSへ送らなくてはならない。

さらに、最近明らかになったところでは、スターライナーCFT-1の機体には自動操縦の機能がなく、無人でISSから離脱するには、ソフトウェアを更新しなければならないという。これはジャーナリストのエリック・バーガー氏がニュースサイトArs Technicaでスクープしたもので、8月8日になってNASAとボーイングがその報道を認める形で明らかになった。

スターライナーは2019年と2022年に無人での飛行試験を行っており、このときは無人でISSへのドッキングと離脱が可能な能力をもっていた。なぜ、現在の機体からそれが外されているのかは明らかになっていない。

すでに影響も

はたして、スターライナーCFT-1がどのような結末を迎えるかはまだわからないが、すでにさまざまな影響が出ている。

もともとNASAとボーイングは、CFT-1が成功すれば、運用段階に移行し、2025年2月にも4人の宇宙飛行士を乗せて打ち上げることになっていた。しかし、現時点では2025年8月以降に延期となっている。

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