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日本の建設産業、これまでとこれから

マイナビニュース / 2024年9月18日 10時0分

野原: 本来は、同じところに頼む方が、これまでの経緯や会社のことも分かっているので、経済的にもベネフィット(利益)があるはずですが、発注者が知識を蓄えたり、施工方法が標準化したりする中で、そうした意識が薄れてしまった。

志手: コスト競争やサービス競争をすることが産業全体の疲弊を招く状態は、おかしい。ゼネコンは競争するためにたくさんの事業者から取った見積もりを積み上げ、細かい資料を作成する。そこに、どれだけの人件費が注ぎ込まれているのか。それで落札できなければ、全てが水の泡です。競争入札が本当に合理的なのか? 競争に人件費をかけるよりも他にお金をかけることがあるのではないでしょうか。

蟹澤: 設計と施工を切り離して入札することはコスト競争になりやすいこともありますが、分けることで、設計、つまり絵を描く人と作る人が切り離されてしまった。作らない設計って面白くないし、作る人は単純作業ばかりになって、やはり面白くない。

アメリカやイギリスでは、デザインから施工まで一括して受けるデザインビルドや共同作業で設計するPCSA(※1)などが増えてきました。それは、日本と同様の問題が起きてきたからではないでしょうか。

※1 PCSA:プレ・コンストラクション・サービス・アグリーメント。着工前の設計協力のための契約を指す。ゼネコンやサブコンなど施工に関わる企業が、早期に建設プロジェクトのデザイン、コスト、性能等の調整に関
与することが可能

野原: 日本でもデザインビルド方式のメリットが少しずつ認識されてきたと聞きますね。

蟹澤: そしてやはりDX(デジタルトランスフォーメーション)。デジタルの活用は、業務を効率化し、また仕事を面白くする大きな可能性を秘めているのではないでしょうか。

●DXは、建設産業を照らすのか
野原: いまDXに期待されるというお話が出ました。ただ一方で、「製造業と比較して建設産業のデジタル活用がなかなか進んでいない」ともよく言われます。その要因はどこにあるのでしょうか。

志手: 私はその説には少し懐疑的なんです。本当に建設産業のデジタル活用は進んでいないのでしょうか? 製造業と建設業の一番の違いは作業する場所の違いです。作業場所や環境が常に変化する建設現場では、屋内工場での作業が主体の製造業と違って、ロボットなどで効率化することが難しい。

そういう場でデジタル活用が進んでいないと言えるのか、それとも、こういう場所でやっている割には、十分活用しているね、と言えるのか。そういう見方が非常に重要だと思います。

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