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大河原克行のNewsInsight 第320回 GIGAスクール構想は第二期へ、「利益なき繁忙」で学校教育を阻んではならない

マイナビニュース / 2024年9月5日 16時19分

ChromeOSを導入するハードルを下げる各種施策を準備しており、シェア拡大に向けた体制が整っている。

これに対して、日本マイクロソフトでは、GIGAスクール構想第二期に向けて、どうしても弱腰の姿勢を感じざるを得ない。

実際、公共事業を担当しているパブリックセクター事業本部において、GIGAスクールを担当していた文教営業統括本部は解消され、地方自治体などを担当する公共・社会基盤統括本部に統合。体制が強化されたとはいえない状況にある。

また、2024年5月に、東京・有明の東京ビッグサイトで開催された「第15回EDIX(教育総合展) 東京」の特別公演では、日本マイクロソフト 執行役員常務 パブリックセクター事業本部長の佐藤亮太氏が講演。その際に、「Windowsは端末の管理が大変だという声を、現場から数多くもらった。OSのアップデートなどにより、Windowsが原因となって学びを止めていたという指摘があり、GIGAスクール構想を支える企業の1社として本当に申し訳なく思っている。ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした」と、教育関係者を前に深々と頭を下げて陳謝するシーンが見られるなど、教育現場での運用における問題が大きいことを裏づけている。

日本マイクロソフトの佐藤氏は、「GIGA 端末をもっと使いやすく」という観点から改良を加えていることを強調。OSのアップデートについては、更新プログラムのダウンロードサイズを最大4割削減しているほか、授業を中断しないように、適切なタイミングで、スムーズにアップデートが行えるようにしていること、推奨設定の告知を徹底することで起動が遅いという課題を解決する提案を進めていることなどを示しながら、「日本マイクロソフトは、日本に根ざし、長年に渡って日本の教育を良くしていきたいという思いで活動をしてきた。今回の第2期に向けても、大きな改善をしている」と説明している。

教育現場向けの体制強化が進まないなかで、日本マイクロソフトが示す対策やメッセージが、教育現場にどこまで浸透できるかが課題といえる。

一方、iPadについては、「最新機種や周辺機器が、いずれも値上がり傾向にあるため、MDMを含めた調達価格を、複数年にわたり予算内に収めていけるのかが懸念されている」(MM総研)と指摘している。

アップルでは、第10世代iPadの価格を、2024年5月に1万円値下げし、5万8800円としている。他の端末の値下げ幅に比べて大きいこともGIGAスクール構想第二期を視野に捉えた価格設定であることがわかる。第一期で導入したiPadを下取りし、それによって第二期の導入を促進するという動きもみられており、これが5万5000円以内という予算内に収めるための施策のひとつになりそうだ。300万台規模の第10世代iPadを国内市場に安定的に供給できるかどうかも鍵になるだろう。
○浮かび上がる「供給体制」への懸念

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