建設DXで未来を変えていく
マイナビニュース / 2024年9月30日 10時0分
これはG7中最下位であるだけでなく、トルコやポーランド、ポルトガルといった国々よりも低い順位です。これだけ生産性が低い状態では、経済全体でも、産業全体でも、成長が見込めないのは当然です。
最近では長く続いたデフレからインフレに転化し始め、経済が明るい方向に向かっているように見えますが、本質的には生産性を向上させ、賃金を上昇に転じさせなければ問題の解決にはならないでしょうね。特に建設産業は多重下請け構造(※2)によって生産性が低いと言われる上、「3K(キツイ・キタナイ・キケン)」といったネガティブなイメージもあります。
賃金を上げて優秀な人材が集まる産業にするのは非常に大変だと思いますが、かなり尽力する必要があるのは間違いないでしょう。ただ、個人的には建設産業は特に応援したいと思っているんですよ。
※1 OECD:経済協力開発機構。ヨーロッパを中心に日本やアメリカも含めた38カ国が加盟する国際機関
※2 多重下請け構造:元受け会社が業務の一部を複数の下請け会社へ委託する、下請け会社からさらに下請け会社に委託する、など複数の下請け会社が関わる仕事の構造
野原: 建設産業を応援して下さるのは心強い限りです。しかし、なぜ建設産業を特に応援したいと?
岸: 私の研究領域のひとつが地方経済だからです。日本の地方経済の現実を見ますと、今でも建設産業と農業が地方の基幹産業です。一端を担う建設産業が成長してくれないと地方経済が大きなダメージを受けてしまいます。日本を支えるためにも建設産業には頑張っていただき、やはり地域の雇用吸収源として成長を続けてもらいたい。
野原: なるほど。そんな地域経済と、ひいては日本経済の要とも言える建設産業が息を吹き返すためには、まず「生産性を上げる」ことに尽きるということでしょうか?
岸: その通りです。生産性を向上させて賃金を上げ、人が集まる産業にしなければならないと思います。本当に産業の構造が生産性向上の障害となっているなら、産業を挙げた是正に向けて動き出さなければならないでしょう。結果として生産性を上げられない企業が淘汰される可能性はありますが、人を集めるためには生産性の高い企業、そして高い賃金を払える企業を増やしていかなければなりません。
野原: 建設と同じように人手不足が叫ばれる産業のひとつに運送業があります。近年は爆発的にニーズが増えているにもかかわらず、運び手を確保できずに倒産する会社が増えている話を耳にします。建設産業も同じようなことが起きかねないということでしょうか。
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