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建設DXで未来を変えていく

マイナビニュース / 2024年9月30日 10時0分

岸: 人が集まりにくい体質のままでいるなら、同じ道を歩むでしょう。建設産業も運送業と同じく、2024年4月以降は労働時間の上限規制が適用されました。人が少ない上に長時間労働ができなくなれば、人手不足にさらに拍車がかかるでしょうからね。

●DXは産業復興のためのイロハの「イ」
野原: 生産性を向上させて賃金を上昇させるにはいくつかの方法があると思います。DXは主軸になる手段であると考えていますが、岸先生はどのようにお考えでしょうか?

岸: DXはもうイロハの「イ」ですよね。本来はとっくの昔に進めておかなければいけなかったと思います。

世界的なこれまでの流れをおさらいすると、1980年代からパソコンの普及が始まり、1990年代半ばからインターネットが個人や社会レベルで普及し出して、デジタル化が急速に進み始めました。この波に乗った国や産業・企業は生産性を上げて、イノベーティブな製品やサービスをたくさん生み出していきました。典型がアメリカですね。アップルやグーグルといった企業を数多く輩出し、国の経済も大きく成長しています。

では、日本はどうだったのか。残念ながら、日本は90年代以降の30 年間、世界的なデジタル化の潮流にことごとく乗り遅れ続けてきました。

野原: かつての日本は高度経済成長を経て、世界第2位の経済大国と言われていました。80年代などテクノロジーにおいても世界の先端を走っている時期がありましたよね。それがなぜデジタル化やDXの波に乗り損ね、現在のような状況になってしまったのでしょう?

岸: アナログの力が強すぎたからです。

野原: デジタルではなく、人や組織のアナログ的な力ということですね。

岸: そうです。日本が好調だった時期、特に製造業などの「現場の人たち」はとても勤勉で仕事の質も高かった。仮にずさんな経営判断があっても、こうした優れた現場の一人ひとりの力によって、危機を乗り切って成果を手繰り寄せてきました。こうしたアナログ的な現場力が、間違いなく日本の高度経済成長を牽引してきたのです。加えて言えば、高度経済成長の過程で大企業ほど組織をしっかりと作りすぎてしまったこともあります。

結果としてデジタルが企業に入り込む余地がなかなか出現してこなかった。「現場の頑張りで何とかなる」という成功体験を積み上げた結果、組織も商慣行もマインドセットも全てアナログが前提で確立されすぎてしまったのです。

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