建設DXで未来を変えていく
マイナビニュース / 2024年9月30日 10時0分
アメリカやヨーロッパ、アジアの国では、危険と隣り合わせの建設現場に、移民の人たちの姿がもっと多く見られます。移民の方々が建設産業の屋台骨を支えているといっても過言ではありません。
岸: 場合によっては、その国の母国語では簡単にコミュニケーションができない。
野原: そうなんです。だからこそ、欧米は3Dでビジュアライズしたデータで設計や仕様のやりとりができるBIMというシステムが普及しやすかった面があると思います。
日本も今後は、外国人の労働者の方が増えていくでしょうから、急激にDXの機運が高まっていくかもしれません。
岸: いずれにしてもどんな産業でもDXのやりようはある。トップの覚悟次第とも言えるでしょうね。
●国や官公庁を味方にするには
野原: これまでのお話の通り、日本の建設産業のDX化は他産業や他国と比べて遅れが目立ちます。この状況から巻き返すには、産業側の努力だけではなく国や官公庁と連携し、後押ししてもらわなければならないと考えています。
岸: 海外の建設産業は、どのような形でDXを進めているのでしょうか。先ほどおっしゃっていたBIMがすでに普及している?
野原: はい。BIMは建設産業において世界標準になりつつある技術で仕組みです。先に述べたとおり、BIMは3DCADのような図形データにさまざまな情報を載せられるのですが、イギリスやシンガポールなど多くの国で義務化されています。
BIMを使うことで、設計から施工の各フェーズで効率的なプロジェクト管理や品質の高い建築物の設計と建設が可能になります。労働生産性が低いと言われる建設プロセスの圧倒的な効率化を促すことができることが大きなメリットなんです。
また、どこの国でも建築物を建てるには行政の審査が必要になりますが、このとき設計図面などを役所に提出して、規定に沿っているか、間違いがないかなど手間のかかる審査工程が生じます。しかし、これをBIMデータのやりとりに変えれば、各工程の精緻なデータのやりとりができますから、建築確認の時間と手間を大幅に省略できます。つまり、建築確認コストの削減という点でメリットがあり多くの国が積極的にこれを採用、あるいは義務化している側面もあるのです。
岸: 日本ではBIMに対してどのような対応をしているのでしょう。
野原: 残念ながら、現時点では公共物件であってもBIMによる建築確認に対応できていません。建築確認を行う指定機関の仕組みを変えるのに時間がかかっているのだと思います。
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