建設DXで未来を変えていく
マイナビニュース / 2024年9月30日 10時0分
野原: 日本の現場の方々が優秀なのは今も変わりませんよね。しかし、そうして日本がアナログの力に頼っている間に、他国はデジタル化、DXを一気に進めてきました。
岸: それが今の差につながりました。日本以外の多くの国が、複数の仕事の領域を効率化させた結果、アナログなスタイルを続ける日本の生産性を追い越し、差を広げることになったわけです。
野原: 一方で、日本でもデジタル化の波に順応している産業もあるように思います。例えば自動車産業は「デジタル化が遅れている」という話はあまり聞きません。また日本のコンビニエンスストアのシステムは、もう20年、30年ほど世界の先頭を走り続けている印象があります。このように上手にDXを進めている産業は、他の産業と何が違うのでしょうか。
岸: 産業の立ち位置が違うことでしょうね。
自動車産業は、長らくグローバルな競争に晒されてきたことが大きい。市場も材料の調達なども厳しい国際的な競争の中で、常に生産性を磨き続けなければとうてい生き残れません。アナログ的な磨き上げも残しつつ、DXも当然のように進めざるを得なかった面はあるでしょう。
コンビニ業界に関しては、産業のライフサイクルでみると、まだ若いことが理由でしょうね。前述のようなアナログで組み上げられた仕組みや商習慣が確立されていなかったため、デジタルを当たり前のものとして取り入れやすかったのではないでしょうか。
いずれにしても、伝統的な産業ほどDXの遅れが見られますね。
野原: 建設産業もなかなか大規模なDXが進まない伝統的な産業のひとつであると言えます。
私は欧米、アジアの建設産業を視察する機会が多いのですが、他国でも建設産業のDXが、製造業やサービス業といった他の産業と相対的に見ると遅れがちなのも合点がいきます。それでも日本よりは進んでいますが。
岸: 日本の建設産業の現場の方々こそ、優秀でアナログ力が高い面もあるでしょうしね。
野原: おっしゃる通りですね。海外の建設産業を視察する際、できるだけ建設現場も見に行くのですが、他国に比べて日本の建設現場が圧倒的にきれいなことに気付かされます。
「3K」などと言われていましたが、実のところ日本の建設現場は、ゴミが放置されることもなく、道具もきれいにメンテナンスされ、一番整然としていて、現場がスムーズに回っているのが一目でわかります。その背景には、働く人の多くが日本で生まれ育って、同じ教育を受けているので、意思疎通がしやすく、コミュニケーションコストがかからなかったこともあると思うんです。
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