欧州の小型ロケット「ヴェガ」、最後の打ち上げ - 波瀾万丈の歩みとその未来
マイナビニュース / 2024年10月1日 12時33分
●ヴェガ・ロケットのこれまでの歩み - 順調な船出と、つまずき
フランスの宇宙企業アリアンスペースは2024年9月5日、小型ロケット「ヴェガ(Vega)」を打ち上げた。搭載していた地球観測衛星「センチネル2C」を予定どおりの軌道に乗せ、打ち上げは成功した。
ヴェガにとって、これが最後の打ち上げだった。
ヴェガはイタリアが中心となって開発したロケットで、2012年にデビューし、欧州の自立した宇宙輸送の一翼を担ってきた。一方で、22機の打ち上げ中、2機が失敗するなど、信頼性には疑問が残った。
後継機となる「ヴェガC」とその未来にも暗雲が立ちこめる一方、イタリアも新たな手を打ちつつある。
ヴェガ・ロケット
ヴェガは、イタリア宇宙機関(ASI)と欧州宇宙機関(ESA)が開発した小型ロケットである。
その目的は、欧州における小型衛星の自立した打ち上げ手段を手に入れること、そして小型衛星を安価かつ手軽に打ち上げられるようにし、商業打ち上げビジネスでシェアを取ることにあった。
ヴェガの開発構想が立ち上がった1990年代、世界では小型衛星の開発が始まりつつあった。2000年代に入るとブームが花開いたものの、その打ち上げにおいては、ロシアのロケットが幅を利かせていた。とくに、退役した弾道ミサイルを転用したこともあり、圧倒的な低価格で市場を席巻した。
欧州も例外ではなく、EUの地球観測プログラム「コペルニクス」を構成する衛星の打ち上げでも、ロシアのロケットを多く利用していた。そのため、今後を見据え、小型衛星の打ち上げにおけるロシアへの依存度を減らすこと、そしてビジネスで打ち勝つことが求められたのである。
ヴェガは全長約30m、直径約3mで、1~3段目は固体、4段目のみ液体ロケット段「AVUM」を搭載するという、全4段式の構成をしている。固体ロケットは小型ロケットに向いている一方で、制御が難しいという欠点もある。そこで、最後の段だけ液体にすることで、軌道投入精度の向上を図るとともに、複数の衛星をそれぞれ異なる軌道に入れるなどの芸当を可能にしている。
打ち上げ能力は、高度700kmの極軌道に1.5tと、日本の「イプシロン」やインドの「PSLV」などに近い性能をもつ。
開発にあたっては、イタリアが主導的な役割を果たし、出資額も最も多かった。製造におけるプライム・コントラクターも、イタリアの航空宇宙メーカー、アヴィオ(Avio)が担当する。欧州の主力大型ロケット「アリアン5」や「アリアン6」は、フランスのメーカー、アリアングループが中心となって開発、製造していることもあり、イタリアにとっては「ヴェガは自分たちのロケットである」という自負が強く、ことあるごとに強調されてきた。
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