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大河原克行のNewsInsight 第331回 隈研吾監修の新コンセプト空気清浄機、シャープが見据えた家電進化の新たな進路

マイナビニュース / 2024年10月1日 15時45分

KKAAからシャープに届いたデザイン提案は、これまでの家電業界の常識を大きく覆すチャレンジングなものであり、シャープのデザイナーには大きな衝撃が走ったという。

シャープ Smart Appliances & Solutions事業本部副本部長兼プラズマクラスター・ヘルスケア事業部長の永峯英行氏は、「一般的な空気清浄機とは風の通り道が異なり、外装に本物の木材を使用するという提案にも驚いた。シャープの開発者魂に火がつき、挑戦の日々が始まった。構造や性能を実現するための試行錯誤が続いた」と振り返る。

最大の挑戦は、やはり本物の木材を使用した点だ。

一般的な家電製品は、量産することや、コストダウンを目的に樹脂を使用することが一般的であり、シャープには木材を活用するノウハウは一切なかった。そこで、KKAAから岡崎木材工業を紹介され、そのノウハウを活用することで、木材を外装に使うことができたという。

また、外観デザインは、光を透過する障子、風を透過する簾虫籠から着想し、隙間から自然と風が吹き出てくるような印象を与える縦格子を採用。均等に並んでいるように見える格子は、斜めから見るとそれぞれの面が強調されすぎないように、細かな角度をつけているという。ここでは、全体的な収まり感を重視した角度調整により、すべての面が同じ見え方になり、設置の自由度を高めることにも成功している。

さらに、高級家具で用いられるホワイトオークの無垢材を使用し、表情が異なる格子を、熟練の木工職人の手で一本ずつ丹念に組み上げている。また、細い格子の加工には、プレス機が使えないため、100分の1mm単位でサイズを管理し、職人が木材同士の凹凸を見て、手作業により、糊だけで接着しているという。

天面は薄く、細いデザインとなっている。そのため、本物の木材を使用すると反りやすくなるという課題が発生するが、岡崎木材工業では、薄い木材を6枚、90度ずつ角度を変えて重ね合わせることで、木の反りや割れを防止。美しい木目はそのままに、品質と耐久性も両立したという。

また、天面で使用する木材は、それぞれに木目や節目が異なっており、経年使用による濃淡の変化にも愛着を持ってもらうといった新たな家電の在り方も提案している。

もうひとつ見逃せない特徴が、設置自由度を高めるために、4方向のどこから見ても同じ外観とし、空気清浄機でありながら、天面には吹き出し口がないデザインとしている点だ。

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