1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. パソコン

大河原克行のNewsInsight 第331回 隈研吾監修の新コンセプト空気清浄機、シャープが見据えた家電進化の新たな進路

マイナビニュース / 2024年10月1日 15時45分

協業のはじまりは、コロナ禍において、KKAAがプラズマクラスター空気清浄機を導入したことだった。

隈氏は、「コロナ禍で、世界中の人たちが、空気の質に敏感になり、空気は大切なものであることを実感し、世の中の意識が大きく変化した。KKAAにプラズマクラスター空気清浄機を導入した際に、自然のイオンを使うという原理に感銘した。そこから徐々に話し合いが始まっていった」と振り返る。

隈氏がオフィスにシャープの空気清浄機を導入してから、シャープの沖津社長兼CEO(当時は本部長)などが訪問し、プラズマクラスターの機能や価値、コンセプトを説明。プラスとマイナスのイオンを使用する自然に近い原理と、隈氏が建築で目指している自然を生かした建築方法には通じるものがあり、共感が生まれていったという。

「両社の共感から、KKAAのデザインとシャープの技術を融合することで、新たな価値を創造することを目指した」(シャープの永峯副本部長)と、協業の経緯を説明した。

製品開発において、念頭においたのが異分野、異業種ならではの掛け算によるプロダクトの創出だという。

「家電単独の概念を超えて、建築や自然、環境を掛け合わせた視点で模索を繰り返し、空気質の向上と空間調和を両立させることを目指した。シャープでは、機能や性能以外の観点で、空気清浄機を再定義するための検討を開始するなかで、あるユーザーの声に注目した。それは、空気質の改善を図りたいと考えているにも関わらず、空気清浄機の導入をためらっているユーザーである。上質な空間のなかでは、空気清浄機の素材や形状から、機械的であり、無機質なデザインが異質であると感じており、それが導入の弊害になっていることがわかった」という。一方のKKAAでも、デザインした空間に合わない家電を選ばなくてはならないという経験があり、建築家の視点で、同様の課題感を持っていたという。

シャープの空気清浄機に、KKAAが外装デザインをすることで、空間に対して違和感がない製品づくりを目指し、協業を開始することになったというわけだ。

一方、岡崎木材工業 代表取締役の岡崎玄二郎氏は、「最大月産台数は100台であり、家電としては少ないと感じるかもしれない。だが、格子を400枚仕上げる必要があり、そこには1万本の木を使用することになる。すべてが職人による手作業であり、その技術に頼って作られている。作業手順や道具の標準化を行うとともに、何度も検査をし、工業品として出荷できるようにしている」と、モノづくりの苦労を明かす。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください